更新日:2025年2月10日
目次(ページ内)
予算編成と主要事業の説明
予算編成の説明
それでは、令和7年度予算案の概要を申し上げます。
一般会計予算は、1千853億9千700万円で、対前年度比106億800万円、6.1%の増で、過去最大の額となっております。
歳入予算では、市税収入は、個人・法人市民税や固定資産税、市たばこ税などの増収、国・県支出金については、児童手当国庫負担金や子どものための教育・保育給付費負担金などによる増額を見込んでおります。
歳出予算では、物価や人件費の上昇、扶助費など社会保障費の増加へ対応しつつ、災害への備えを高めるための予算や子ども政策をはじめ、市立病院建替事業、新真和志複合施設などの建設事業、学校教育関連事業など、各分野へ幅広く予算を計上しております。
企業会計を除く特別会計予算は、総額約756億3千100万円で、対前年度比約2億9千7百万円、0.4%の増となっており、主に介護保険事業特別会計によるものとなります。国民健康保険事業特別会計の財政赤字に対しては、引き続き一般会計からの政策的な繰り入れを行います。
結果として、約60億800万円余りの収支不足が生じておりますが、財政調整基金及び減債基金を取り崩して対応いたします。
主要事業の説明
次に令和7年度の主な事業を、第5次那覇市総合計画で掲げた5つのめざすまちの姿に沿って、ご説明いたします。
「多様なつながりで共に助け合い、認め合う安全安心に暮らせるまち NAHA」
(小さな「わ」が大きな「Wa」に広がる協働によるまちづくり)
協働によるまちづくりの推進に向けて、地域が自ら課題を解決できる環境づくりを推進し、市内全ての小学校区にまちづくり協議会の設立を目指します。
また、SDGsの達成に向けて、まちづくりの新しい手法ソーシャルインパクトボンド(SIB)を取り入れた「那覇市版SIB」の仕組みを用いて、社会課題の解決、持続可能な社会の実現を目指す、協働活動を創出します。
さらに、地域活動の拠点となる、自治公民館等のコミュニティ供用施設の建替え等に対して補助を行い、地域の活性化を図ってまいります。
(地域の力が重なる安全安心のまちづくり)
安全安心なまちづくりに向けて、災害時において重要な情報伝達手段となる防災行政無線の更新及び高機能化を図るほか、各種災害へ迅速・確実に対応できる体制を維持するため、「高機能消防指令システム」及び「消防救急デジタル無線」の一体運用に向けた更新事業に着手します。
消防署所の適正配置を目的として、「(仮称)識名出張所」の建設工事を推進し、消防力の強化を図ります。
予測困難な災害に備え、様々な手法で防災訓練を実施し、災害対応力の高いまちづくりを推進します。
また、保安灯の設置及び維持、防犯カメラの設置を行う団体に対し補助を行うとともに、交通安全運動を推進し、安全で快適な生活環境を促進します。
さらに、相談体制の充実したまちづくりに向け、消費者被害の拡大防止のための啓発活動や消費教育、相談業務等を通して、安全安心な消費生活の確保に取り組みます。
生活にお困りの方に対して、生活保護に至る前の第2のセーフティネットとして、生活や就労などの自立に向けた相談支援等を伴走型で実施します。
在住外国人が安心して暮らせるように、住民登録をはじめ、健康保険、税金などの適切な窓口へ案内できるよう多言語対応により支援します。
(交流の輪を広げ平和を希求するまちづくり)
戦後80年の節目にあたり、記念事業の取組として、本市が加盟し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を発信することを目的として設立された「日本非核宣言自治体協議会」の総会を本市で開催するほか、恒久平和のモニュメント「なぐやけ」の周辺整備を行います。
沖縄戦体験者の高齢化が進むなか、戦禍の記憶を風化させないため、証言映像を制作し平和学習などに活用することで、沖縄戦の実相や平和の尊さを次の世代へ継承してまいります。
平和の象徴として復活を遂げた「那覇大綱挽まつり」の期間に合わせて、本市の友好・姉妹都市を招いた交流会を開催し、人的・文化的交流等を通じて相互理解と友好をより一層深め、平和の構築を図ります。
(人権が尊重され、誰もが心豊かに安心して暮らせるまちづくり)
市立中学校の思春期の子どもたちを対象に、子どもへの暴力防止に向け、問題解決能力を高める
性別や世代、地域を越え、お互いに協働し、一人ひとりが豊かに暮らせる社会を目指して、「第4次那覇市男女共同参画計画」の方策を進めていくとともに、「那覇市性の多様性を尊重する条例」の制定に向けて、取り組んでまいります。
「互いの幸せを地域と福祉で支え合い誰もが輝くまち NAHA」
(地域で暮らし地域で支えるまちづくり)
高齢者等支援を必要とする方が孤立しないよう、自治会等が訪問活動を行う「地域見守り隊」の結成促進及び充実を図り、住み慣れた地域で誰もが安心して生活できる地域づくりを推進します。
災害時において避難行動要支援者の避難を迅速に行えるよう、関係団体と協力して個別避難計画書の整備や、避難を促す体制整備を図ってまいります。
慢性疾患等があり、生死に関わる危険性が高い独居高齢者等が利用する「緊急通報システム事業」の機能強化を図るため、見守りセンサーなど、IT技術を活用した見守りの仕組みを導入します。
障がい者等の重度化や高齢化又は「親亡き
子どもの貧困への対策として、貧困状態又は将来的に貧困に陥る可能性がある児童の自立に向け、庁内に貧困対策支援員を配置するとともに、地域の子ども食堂や学習支援などを実施する団体への運営支援を通して、子どもの居場所づくりを支援します。
(すべての人が健康で生き生きと暮らせるまちづくり)
新たに策定する「健康なは21(第3次)」を通して、市民一人ひとりが健康づくりに取り組み、健康長寿を実現できるよう、行政や関係機関・団体など社会全体で健康維持・増進を図ってまいります。
本市の重要な健康課題である肥満の改善に向け、肥満による生活習慣病のリスクのある方を対象に、ICTを活用した生活習慣病予防プログラムを実施します。
乳幼児健診の受診票デジタル化によるアプリ活用を通して、保護者の負担軽減を図るとともに、子育てがより楽しく便利になることを目指します。
子どもを望む夫婦の経済的負担軽減を図るため、保険適用外の先進医療不妊治療に対する費用の一部を助成します。
また、若年妊産婦が家庭や社会から孤立することなく、安全安心な居場所で妊娠・出産・育児ができるよう支援するとともに、復学・就学、就労など自立を目指し、安定した生活を営むための支援を行います。
(身近な地域で良質かつ適切な医療が受けられるまちづくり)
本年度は、いよいよ新那覇市立病院の開院を迎えます。10月の開院に向け、医療機器等の整備を重点的に支援するほか、現病院の解体や跡地整備に向け、引き続き市立病院を支援してまいります。
また、那覇市救急搬送支援システムの運用を開始し、救急要請に対して更なる市民サービスの向上を図ります。
重複服薬・多剤服薬は、症状の悪化や二次障害を起こす要因となっていることから、国保加入者の方を対象に適正な服薬を指導するとともに、医療費の適正化を図ります。
「次世代の未来を拓き、豊かな学びと文化が薫る誇りあるまち NAHA」
(子育てが楽しくなるまちづくり)
低所得世帯の放課後児童クラブ利用にかかる費用の一部を助成するほか、経済的な理由で学校外教育を受けることができない子ども達に対しては、学習塾等で利用できるクーポンを提供するなど、児童の健全育成及び放課後の学びの格差解消に向けて取り組みます。
保育士等の職場環境を改善し、ゆとりを持って保育ができるようにするための体制づくりや継続就労に対する支援を行うなど、保育の量の確保と質の向上を図ります。
就学前の子どもとその保護者を対象に、育児相談講習等を行う地域子育て支援拠点を設置することにより、子育ての負担緩和を図り、安心して子育てができる環境を整備します。
また、こども誰でも通園制度の本格実施を見据え、保育施設へ通っていない生後6ケ月から2歳児までのお子さんを対象に、月10時間以内の保育サービスの利用を提供し、子育て支援の充実を図ります。
こども園において特別な支援が必要な園児が安全安心に教育を受けられる環境を整え、インクルーシブ教育の充実を図るとともに、教育・保育施設等へ入所希望の医療的ケア児の受入れを可能とするため、看護師の配置体制等を整備します。
支援が必要な母子世帯等へ、精神的・経済的な安定と自立した生活への支援を行うとともに、ひとり親家庭等に対し、様々な資金貸付を行うことにより、経済的自立を支援します。
支援を必要とする子どもや保護者に対して、関係機関と連携して、対象児童の見守り体制やヤングケアラーへの支援体制を構築し、児童虐待の未然防止及び早期発見、早期対応に努めます。
(自らの力で未来を拓く子ども達を応援するまちづくり)
こどもの権利を保護するため、「(仮称)こどもの権利条例」の制定に向けた取組を推進します。
小中学校において、特別な支援や医療的ケアが必要な児童・生徒を支援するための保健師及び特別支援教育補助員の配置の充実を図ります。
電子黒板などのICT機器を整備し、それらを活用した学習により児童生徒の学習意欲を高め、学習の質の向上を図るほか、各小中学校へ統一した保護者等連絡ツールを整備することにより、校務DXの推進及び保護者等の連絡に係る利便性の向上を図ります。
また、保護者や地域等から学校や教員への要求や苦情に対応する学校問題解決支援員を配置することにより、教職員の負担軽減を図り、本来業務に専念できる環境を整えます。
さらに、本市の小学校並びに中学校の学校給食費においては、本市の責任として半額補助を実施するとともに、小学校も含めた完全無償化の実現に向けて、引き続き、県へ要請を行い、取り組んでまいります。
学校施設の機能と安全性を確保するため、計画的な予防保全による施設の長寿命化を図るとともに、エレベーターの新設など、障がいのある子もない子も、地域の学校で安心して共に学べる教育環境を確保します。
(生涯学習を推進し、地域の教育力を向上させるまちづくり)
施設の長寿命化を図るため、首里公民館・図書館改修工事に着手するほか、利用者が快適に利用できるよう、繁多川及び若狭公民館・図書館の冷房機器更新のための実施設計を行います。
児童生徒が、スポーツ活動で市・県を代表して九州大会以上の県外大会へ派遣される場合の航空運賃・宿泊費の一部を補助することにより、広い視野を持つ人材の育成及び競技力の向上を図ります。
また、地域と学校をつなぐ「地域学校協働活動推進員」等を配置し、地域人材や資源を活用して子ども達の学びや成長につながる活動を推進してまいります。
(郷土の歴史、伝統文化・芸能にふれあい、新たな文化を創造するまちづくり)
文化が保存され継承されるまちづくりの推進に向け、旧国宝の崇元寺跡地については、適切な保存・活用を図るとともに、「崇元寺跡」の認知向上を図るため、ガイダンス施設の工事に着手します。
首里城公園内の中城御殿跡地については、国宝尚家資料の常設展示・収蔵に向けた実施設計を行うなど、引き続き関係機関と連携しながら取り組んでまいります。
また、国指定名勝の伊江殿内庭園の活用・公開に向けては、庭園部分を中心に保存・整備を進めます。
なはーとを拠点として、本市にゆかりのある芸術家と創造活動に取り組み、市民が多彩な文化芸術に触れる機会やあらゆる世代の交流を促進し、市民の創造性を育むことで、寛容で、互いの多様性を認め合う心豊かな市民生活及び活力ある地域社会の実現を目指します。