令和2年度施政方針

更新日:2020年2月12日


 はいたい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
 私は那覇市長として、32万市民の幸せを願い、県都・那覇市のさらなる発展に向け、日々、全力で取り組んでおります。
 「平和・こども・みらい あなたと ともに」をスローガンに掲げ、「やさしく 温かく こまやかに 心をひらく 未来をひらく」の信念の下、笑顔広がる元気なまちNAHAの実現を目指してまいります。
 本市議会の皆様におかれましては、より良い市政の実現に向け、ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 それでは、令和2年度の施政方針と予算案、主要事業をあわせてご説明申し上げます。
 ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。

市政運営の基本方針

令和の時代を迎えて

 令和という新時代が幕を開けました。令和には、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。梅の花のように、明日への希望を咲かせる」という思いが込められているとのことです。
 文化が生まれ育つ。明日への希望を咲かせる。そのためには、世の中が平和であり続けなければなりません。「戦争のない時代」とされた平成に続き、令和も平和で安らかな時代になることを切に願っております。
 さて、今年は戦後75年の節目を迎えます。時の経過と共に歴史の風化が危惧される中、平和の尊さを、子どもたちにもしっかりと伝え、未来につなげていかなければなりません。
 平和への願いが託された、令和という新時代の幕開けに、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。オリンピックは、スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与することから、平和の祭典とも言われています。
 オリンピックの開会に向け、遠くギリシャから聖火がリレーされ、国内を巡ります。沖縄では首里城を出発し、その後、新都心公園や国際通りを駆け抜け、県内各地に向かいます。
 聖火リレーに平和を願う想いを込めて、沖縄から全国へ、そして世界へ、その想いをつなげていきたいと考えております。

多様性を認め合う寛容な社会

 ラグビーワールドカップ2019では、強豪国を次々と倒す日本代表の活躍に、日本中が感動の渦に包まれました。
 とりわけ印象的だったのは、代表選手としてプレーする、多くの外国籍選手の存在です。多国籍であっても、文化・国籍など様々な違いを乗り越え、ワンチームとしてスクラムを組み、一つの目標に向かって進んだことが、すばらしい結果を生み、多くの感動を呼んだのだと思います。
 本市でも、海外からの観光客や定住外国人の増加により、普段の暮らしの中で外国人と接する機会が多くなりました。人口減少・少子高齢化の本市において、社会を支える新しい力となっていくことも期待されています。これからは来訪者としての交流の視点だけでなく、生活者としての共生の視点も備えなければなりません。
 私たちの社会は、国籍のみならず、人種や性別、世代、さらには障がいの有無や多様な性、経済的な基盤の違いなど、様々な背景を持つ人々で構成されています。これらの違いや立場を乗り越え、より良い社会を共創していく必要があります。
 一人ひとりの多様な個性や立場を尊重し認め合う、寛容な社会を築いてまいります。

協働によるまちづくりの深化

 本市で協働という言葉が使われ始めて20年が経ちました。第3次総合計画で初めて提唱され、当時耳慣れなかった協働が、今では行政や市民、地域の中で多くの方々にしっかりと受け止められています。
 この20年間、本市における協働は、職員の意識改革による市民との信頼関係構築の土台づくり、頑張る市民を見える化するための協働の基盤づくり、協働を点から線に、線から面に広げる、これらの各ステージを積み重ねてきました。
 そして本市は、いよいよ「協働のNEXTステージ」へと進んでまいります。次の20年を見据え、より良い協働のために、最も身近な自治会はもとより、校区まちづくり協議会の活動の推進など、総合計画に掲げる「みんなでつなごう市民力」をスローガンに実効性のある協働を創り上げてまいります。
 改めて感じることは、これからのまちづくりには、市民一人ひとりが主役となり、市民と行政が共に手を携える協働が不可欠であるということです。私の市政運営の土台となるものは、一貫して「協働によるまちづくり」であります。
 引き続き、豊かで活力ある地域社会の実現を目指し、邁進してまいります。

子どもたちの笑顔を求めて

 這えば立て 立てば歩めの親心
 この言葉には、子どもの成長を楽しみに待ちかねている親の様子が見てとれます。我が子に向けられるその温かな眼差しを、私たち大人は、未来を生きるすべての子どもたちに注いでいかなければなりません。
 子どもの貧困対策の推進については、法改正により、子どもの「将来」だけではなく「現在」に目を向けるなど、目的及び基本理念の充実が図られました。子どもの現在及び将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう取り組まなければなりません。
 また、好調な県経済などを背景に、女性の就業機会が増えたことなどにより、保育需要が高まりました。保育施設の整備により、着実に保育定数の拡大を図っております。
 幼児教育・保育の無償化により、経済的な支援の範囲が広がりました。また、本市はすべての公立幼稚園が認定こども園へと移行し、幼保の分け隔てなく、教育・保育を一体的に行っております。さらに、利用が広がってきた、ら・ら・らステーションを通して、小さな声も拾い上げてきました。
 子どもの貧困対策を総合的に推進するとともに、待機児童解消に向けて、引き続き、保育施設の整備及び保育士の確保対策に全力を挙げて取り組んでまいります。また、妊娠期から保育・幼児教育にわたる切れ目のない支援の継続と、さらなる質の向上、充実を図ります。
 私の重要施策の一つである子ども政策については、従前にも増して全力を傾け、子どもの笑顔があふれるまちづくりを進めてまいります。

文化と観光の融合による振興

 沖縄県の入域観光客数は念願の1,000万人を超えました。沖縄観光のさらなる飛躍に向けては、専門家からは、沖縄の独自色をより強く打ち出していくことなどが、提起されております。
 観光振興への示唆に富む『新・観光立国論』を著したデービッド・アトキンソン氏は、観光立国には「気候」「自然」「文化」「食事」の四要素が必要であると述べ、日本は全ての要素を持ち合わせていると評価しています。
 私は、亜熱帯の気候や自然、琉球王朝の色彩を今に伝える独特の文化や料理に恵まれる沖縄こそ、優位性があると考えています。
 本市が関わる『琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な「琉球料理」と「泡盛」、そして「芸能」』 が、沖縄県から初めて日本遺産に認定されました。
 また、現在、那覇文化芸術劇場「なはーと」の建設工事や、沖縄の食の魅力発信拠点施設として第一牧志公設市場の建替工事が進んでいます。
 飛躍の可能性を秘めたこれらの資源を活用し、独自の文化芸術と観光産業を融合させ、付加価値を付けていく必要があります。相乗効果を生み出し、双方の育成・振興・発展を図り、本市の魅力を高めてまいります。

基盤整備から経済振興へ

 沖縄県と国内外を結ぶ人流・物流の拠点として、極めて重要な役割を果たしている那覇空港では、まもなく第二滑走路の供用が開始されます。
 県内最大級の那覇港総合物流センターは、空港に近い利点を生かし、海と空の連携にも取り組み、将来はアジア向けの物流ハブを目指しています。
 延長開業したゆいレールは、沖縄自動車道との結節により乗り換えが促進され、那覇都市圏の慢性的な交通混雑の緩和や、新たな人の流れが生まれることが見込まれています。
 このように、経済振興の礎を成す基盤整備は着々と進んでいます。
 本市においては、南北を走るゆいレールに対し、東西の交通軸を成すLRTの整備に期待が高まっています。
 人流・物流の拠点や基盤をつくり、相互に連携し、効率化させることで、本市経済への波及効果が生まれるものと考えております。
 快適な交通環境を整備し、まちの魅力を高め、また、成長産業分野への対応力を強化することで、本市の経済を牽引する企業や人材の集積を図り、自立的な経済基盤を拡大させてまいります。

首里城再建支援

 首里城火災の発生当日、まだ白い煙が立ち込める中、跡形も無く崩れ落ちた正殿を前に、悲しみと無念さで、しばらく呆然と立ち尽くしました。この喪失感は、今なお埋まることはありません。
 首里城が私たちにとっていかに大きな存在であったかを再認識するとともに、一日も早く、あの朱色に彩られた首里城の姿を再び目にする喜びを、多くの方々と分かち合いたいとの思いを強くいたしました。
 首里地域は、首里城のみならず、いにしえの王府を彩る歴史文化遺産が数多く存在しております。歴史と文化が薫る首里の将来を展望する上で、これらが一体的に整備されなければならないものと考えております。
 「七(くる)びくるでぃ ひやみかち()きり わしたくぬ沖縄(うちなー) 世界(しけ)に知らさ」
 私たちうちなーんちゅは、これまで幾多の困難な状況にあっても、ひやみかち節にあるように、何度も起き上がってきました。
 首里城の再建は長い道のりとなりますが、皆様と共に「ひやみかち起きり」と、心を一つにして歩みを進めてまいります。

SDGs -持続可能な開発目標-

 2015年9月、国連サミットで2030アジェンダが採択されました。「誰一人取り残さない」というSDGsの基本理念の下、人間、地球、繁栄のための行動計画が示されております。
 国も強く推進しており、企業や投資家、経済全体で取り組む社会の枠組みとなりつつあり、今日、その裾野は確実に広がっております。
 本市が第5次総合計画に掲げた「めざすまちの姿」は、SDGsの理念と合致するものであり、総合計画を実行することが、SDGsの着実な推進に繋がるものと考えております。
 「誰一人取り残さない」という理念を改めて心に刻み、SDGsにしっかりと向き合ってまいります。全庁的な推進体制を構築するとともに、未来への思いを共有するため、シンポジウムを開催するほか、就職氷河期世代の職員採用に門戸を開くなど、持続可能な社会の実現に向け、最初の一歩を踏み出してまいります。

災害に強いまちづくり

 気候変動に関する専門家は、急速に進む地球温暖化に強い危機感を抱き、このままでは豪雨や洪水、干ばつなどの異常気象のリスクが高まると警鐘を鳴らしています。
 現在、世界各地で、森林火災や噴火、地震など、自然災害が多発しています。我が国においても昨年の台風19号や九州北部豪雨など、想定を遥かに超える甚大な被害があり、今もなお避難生活を余儀なくされる方々がおられます。
 災害には日頃からの備えが大切です。本市の総合防災訓練では、毎年新たな想定を加えながら、対象範囲を拡大し実施しています。地域で活動する防災士に加え、新たに、専門的知見を有し、防災・危機管理の中心的な役割を担う、地域防災マネージャーを養成、確保し、災害対応力を高めてまいります。
 防災に関するハード面の整備を進めるとともに、訓練や市民参加型の防災体験を通じ、意識啓発や災害の知識、発災時の判断・行動の教育など、防災意識の向上のための取組を進めてまいります。

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