令和5年度施政方針

更新日:2023年2月9日

 はいさい ぐすーよーちゅーうがなびら。
 私は、昨年の那覇市長選挙において「市民のために」、「市民と共に」、「市民本位」を重要な視点に位置付けて挑み、多くの市民の皆様からの負託を受け、第34代那覇市長として歩み始めました。
 当選後、たくさんの祝福をいただき、その期待の大きさと責任の重さを痛感しております。市長として、32万那覇市民の安全安心と暮らしに責任を持ち、本市の魅力あふれるポテンシャルをより高め、那覇をさらに幸せに満ちたまちにするため、私の全ての力と職員力、組織力を最大限に発揮し、市政運営を行っていく覚悟でございます。
 市民福祉の向上をはじめ、経済の活性化、地域のさらなる発展による「那覇の未来」を光輝くものとするために、ニーズを的確に捉えた、幅広い分野での施策を横断的に展開しながら、立候補に際し決意した初心を忘れず、どのような状況にあっても臆することなく勇往邁進(ゆうおうまいしん)してまいります。
 市民の皆様並びに、本市議会の皆様におかれましては、より良い市政の実現に向け、格段のご理解とご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
 それでは、令和5年度の施政方針と予算案、主要事業をあわせて説明申し上げます。
ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。

市政運営の基本方針

未来を拓く、なは☆ひとづくり、まちづくり、ゆめづくり

 私のまちづくりへの思いを、「未来を拓く、なは☆ひとづくり、まちづくり、ゆめづくり」という言葉で表現させていただきました。
 この言葉には、様々な行政経験を積む過程において、未来に思いを馳せたとき、これからの時代に選ばれる自治体となるためには、包摂の心に満ちた寛容性と、誰もが違いを認め合える多様性が土台になると、強く意識した背景がございます。
 そして、人々が笑顔にあふれ、支え合い、安心して生活が送れ、誰もがそれぞれの夢を描ける魅力的なまちでありたい、という思いが芽生えました。
 この思いを形にするため、市民生活の向上に焦点を当て、市民目線を常に大事にしながら、すぐにやるべきもの・短期・中長期の観点から、様々な公約を掲げさせていただきました。
 「ひとの“和”で、まちに笑顔を、ひとの“輪”で、まちに元気を」、那覇に、暮らし、働き、集う、全ての人々の夢があふれたまちが私の思いであり、その実現に向けて全力を傾けていく所存であります。

物価上昇等への迅速な支援及びコロナ対応

 コロナ禍で長く影響を受けている市民生活や地域経済に加えて、国際情勢の急激な変化による物価上昇等により、私たちを取り巻く状況は厳しさが増しております。
 私は、この問題に迅速に取り組むべく、就任直後に全世帯、子育て世帯、事業者等に対する支援を早急に講じてまいりました。
 また、学校給食費の無償化に向けて、県内市町村長と連携し、県に対し令和5年度中の実現を積極的に働きかけ、引き続き家計負担の軽減に最善を尽くしてまいります。
 今後も変化の激しい社会情勢を的確に捉え、新たに発生する幅広いニーズに対して、国や県の支援策や動向等を注視しながらしっかりと財源確保に努めつつ、スピード感をもって対応してまいります。
 他方、コロナの対応については、社会の状況が変わりつつあることを踏まえ、国や県の動向を注視しながら市の責務をしっかり果たしてまいります。
 引き続き、様々な局面を乗り越えるため関係機関等と連携を密にしながら、ウィズコロナにおける「社会生活支援」及び「コロナ対応」の両立を促進してまいります。

こどもたちの健やかな成長を育む土台作り

 こどもたちは、未来を明るく照らす那覇の宝であり、希望であり、こどもたちの元気で笑顔に満ちた那覇を実現することは、市政を担う者の責務であります。
 私は、子育て支援はユニバーサルサービスの認識から、こどもたちの健やかな成長を育むことに全力を注ぎ、妊娠・出産・保育・就学・進学等といった子育ての各段階で、きめ細やかな支援に取り組んでいく決意でございます。
 現在、妊産婦に対する伴走型相談支援と経済的支援を一体とした「出産・子育て応援事業」に新たに取り組んでおり、近くサービスを開始いたします。
 その他、待機児童解消、保育士支援、まなびクーポン等については継続して実施していくとともに、さらなる拡充による子育て支援サービスの向上を図ってまいります。
 来る4月、「こども基本法」が施行されます。私は、この機会をしっかりと捉え、福祉、健康、教育、文化などのあらゆる場面において等しくその権利を保障する「こどもの権利条例」の制定に向け、関係機関や関係団体等と連携を深めながら、取組を推進してまいります。
 また、令和6年度から努力義務となっている「こども家庭センター」の設置に向けても、検討作業を進めてまいります。
 那覇に生まれ、学び、育ち、そして社会へ羽ばたいていくこどもたちの健やかな成長の土台となる、子育て環境の充実を図り、こどもたちの笑顔が燦燦(さんさん)と輝くまちづくりを実現してまいります。

経済のV字回復に向けて

 コロナ禍を契機に、地域事業者の生産性向上や高付加価値化、人材の育成が求められております。経済の回復に向けて、事業者のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化等の側面支援を図り、「稼ぐ力」の向上を後押しする取組を展開してまいります。
 今年は、1月に国内クルーズ船が約2年10カ月ぶりに寄港し、今後、国際クルーズ船の寄港再開も予定されております。那覇港第二クルーズバースの整備も進み、また、国際航空路線の再開などによる観光関連産業の回復や、地場産業商品の消費拡大等を期待しているところでございます。
 また、第一牧志公設市場が装いを新たに来月オープン予定でございます。多くの皆様方と共に、新たな市民・県民の台所の完成を祝いつつ、これをチャンスと捉え観光客など、たくさんの賑わいや活気にあふれる中心市街地を目指していきたいと思っております。
 さらに、本市の充実した都市機能が集積する強みを活かした都市型MICEは、地域への大きな波及効果が期待できることから、誘致促進に向け積極的に取り組んでまいります。
 コロナ禍を乗り越え、力強い経済社会を実現していくためには、地域事業者の活力を最大限に発揮するとともに、那覇の優位性を生かした起業・創業のスタートアップなど新たな芽を生み出すことも肝要であり、その機運醸成を図ってまいります。

福祉の充実により支え合える暮らしの安心

 コロナ禍により生活が一変し、私たちの暮らしに安心を見出しにくい状況が続いております。
 昨年の市長選挙の際に、市民の皆様から「暮らしを守って欲しい」、「毎日の生活が不安だ」等の切実な声を多く受け、私は、その抱えている不安を和らげ、「日々の暮らしが安心して笑顔にあふれるまちをつくらなければならない」という思いを一層強くいたしました。
 市民の皆様一人ひとりの人生においては、楽しいこともあれば辛いこともあるでしょう。市民の皆様が困った時、苦しい時には、市役所がその心にしっかりと寄り添い、声に耳を傾け、最善な支援を行ってまいります。
 また、安心できる地域生活の実現に向けて、地域が抱える多様な課題には庁内横断的に解決を図っていくことが、私が目指す地域包括ケアシステム構築への足がかりになると考えております。
 この先、地域社会がどのような状況にあっても、行政は、市民ニーズへの迅速な対応力、時代の潮流を捉え確実に前に進める先導力が強く求められていることを常に自覚し、市民の皆様が安心して暮らし、温かく優しさあふれるまちを目指してまいります。

協働によるまちづくりの目指す姿

 協働によるまちづくりは、多くの皆様方のご参画のもと、裾野を拡げてきた本市の旗印でございます。
 コロナ禍によって人々の行動が制限されたことなども影響し、地域コミュニティの希薄化や、自治会加入率の低下、担い手不足といった課題が顕著に現れており、これに向き合っていかなければなりません。
 この状況を打開するためには、地域の主体性をより尊重し、地域において課題を洗い出すことを促すとともに、専門性が求められる課題については、本市も一緒に解決を図っていくことが重要であると考えております。
 その実現に向けた本市の役割として、継続した財政支援や活動拠点の提供に加え、地域運営の中心的な役割を担う小学校区まちづくり協議会が関係団体等との繋がりの中で、その機能を有機的に向上させるなど、幅広い視点から模索してまいります。
 引き続き、地域ニーズを柔軟に捉えた新たな取組についてもしっかりと検討を進め、私が描く協働によるまちづくりを目指してまいります。

ワクワクあふれる都市基盤の整備

 那覇の魅力向上の観点から、大きなポテンシャルを秘めているものの一つに、都市基盤整備の強化があります。
 道路や公園等のインフラ整備を行う中にも、経済・観光振興の他、様々な分野の振興にも寄与するという多角的な視点が重要であると考えております。
 街路樹の適切な剪定や雑草の抑制管理による、まち並みと調和した美観形成は、市民のみならず、観光客等の本市を訪れる人々にとっても心地良い印象を与えます。
 また、パークPFI制度の推進を図り、キャンプ場やカフェ等の憩の場を設置するなど公園の付加価値を高め、その魅力を最大限に発揮し、利用される方が心ワクワクできる仕組みを作っていきたいと考えております。
 他方、課題である交通渋滞については、国や県、民間企業の先進的な取組や周辺市町村ともしっかり連携し、短期及び中長期の観点から改善に向けて取組を継続してまいります。
 本市が未来に向けて持続可能な都市としてあり続けるために、市民や那覇を訪れる人々を癒し、心地よく笑顔あふれる都市基盤の整備を進めてまいります。

平和の尊さ、豊かな文化を受け継ぐ心をいつまでも

 「ウクライナ危機」を発端として世界の平和が脅かされている状況に、平和な日常が人々にとってかけがえのないものであることを、改めて認識しております。
 平和を想う時、私は、ノーベル平和賞を受賞した故ミハイル・ゴルバチョフ元大統領を、市制施行80周年記念講演にお招きした時のあの熱い気持ちを思い出します。
 「世界の問題解決のために団結しよう。われわれは同じ地球人」を示したゴルバチョフ元大統領のメッセージは、まさに「平和を希求する心」を掲げる本市の想いと通じるものがあります。
 今日、不戦への決意を新たにし、「平和への想いを発信」、「平和の尊さを次世代へ継承」の想いをいつまでも大切に、平和行政に努めてまいります。
 さて、私たちの暮らしに彩りや賑わいをもたらし、観るものに感動を与える伝統文化は、琉球王国時代から紡いできた心が今なお脈々と受け継がれております。
 その文化芸術の発信拠点である「なはーと」においては、こどもから高齢者、障がいのある方やない方など全ての方に包摂の心で「うとぅいむち(おもてなし)」あふれた文化に親しめる場所として、さらに魅力を高めてまいります。
 また、私たちの心の拠り所である首里城においては、昨年、関係者のご尽力による正殿の本体工事が始まり、念願の復元に向けた流れに胸が高鳴っております。
 諸外国の国賓のうとぅいむちや、琉球文化を発信する芸能の殿堂でもある御茶屋御殿の首里城と一体となった早期復元に向けても取り組んでまいります。
 先人から受け継いできた伝統文化の発展は、私たちの使命であり、紡いできたその心をいつまでも大切にしてまいります。

DXのさらなる推進で市民生活をより便利に

 DXの推進による市民の利便性及び行政の生産性の向上は、優先すべき政策の一つであり、国においては、行政のデジタル化やマイナンバーカードの普及等、デジタル政策の推進を加速させております。
 また、今後、自治体においては、DXの推進と並行してアナログ規制の見直し等が求められ、既存の規制は幅広い分野に及んでいるため、その見直しには、全庁横断的な対応が求められております。
 本市においては、令和5年度から10年度までの6年間を推進期間とした「那覇市DX推進計画」に基づき、デジタル技術を戦略的に活用した「市民サービスの向上」と「行政事務の効率化」に繋がる取組を加速させ、市民満足度を高めてまいります。
 あわせて、デジタル技術に不慣れな市民にも配慮したアクセシビリティの向上と、サポート体制を整えていくことで、デジタルの恩恵を最大限に生かしつつ「誰ひとり取り残さない、人にやさしいデジタル化」を目指してまいります。
 DXのさらなる推進は、本市の発展に欠かすことの出来ない重要分野でもあるため、本市の総合力を結集し、私はその先頭に立ってスピード感のある取組を展開してまいります。

未来への種まき

 現在の那覇市の発展は、新都心地区・小禄金城地区等の米軍基地返還後の跡地利用、モノレールの稼働等が大きく貢献しております。それらは、多くの先達のたゆまぬ努力が結実したレガシー(遺産)であり、その恩恵に心から感謝するものです。
 私は、数年単位では達成出来なくとも、将来大きな果実となるものを5つの中長期重点項目として掲げ、挑戦してまいります。
 その一つ目に、那覇軍港の早期移設を推進して「地権者と連携した跡地利用計画の策定」、
 二つ目に、ひとの移動に優しい都市交通網の充実を目指した「LRTの導入に向けた具体的な検討」、
 三つ目に、地域で暮らす全ての市民の安全・安心が広がるまちづくり「地域包括ケアシステムの構築」、
 四つ目に、さらなる居住環境の充実を目指した「密集市街地の再整備」、
 五つ目に、ゼロカーボンシティ宣言による「脱炭素社会実現に向けた取組」でございます。
 この5つの将来への実現に向け、歩みを踏み出してまいります。今は小さな種でも、未来を担う次の世代に大きな果実を残すことができるよう、その芽が出るベクトルをしっかり見極め、実現をイメージしながら、忍耐強く取り組んでまいります。

関連情報

お問い合わせ

企画財務部 企画調整課 企画調整1グループ

〒900-8585 沖縄県那覇市泉崎1丁目1番1号 市庁舎6階

電話:098-862-9937

ファクス:098-862-4263