平成28年度施政方針-1-

更新日:2019年3月18日

平成28年度(2016年度)施政方針

 はいたい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
 一昨年の11月、私は第32代那覇市長としてかじ取り役を託されました。以来、「ひと つなぐ まち」というキャッチフレーズのもと全力で駆け出し、多くの力をつなぎあわせながら、県都那覇市の更なる発展に向け課題の一つひとつに真正面から向き合っております。
 本市は今年、那覇市制施行95周年の節目の年を迎えます。これまで本市の発展に力を尽くされた多くの皆様に、心より感謝を申し上げます。脈々と受け継がれてきた歴史のバトンをしっかりと握りなおし、沖縄県のフロントランナーとして先人の労苦に恥じることのないよう、今後も市民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力を賜りながら、市政運営に全力で取り組む所存です。
 それでは、平成28年度の施政方針と予算案、主要事業をあわせて説明申し上げます。
ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。
 

市政運営の基本方針

(民主主義と地方自治尊重への願い)

 
 昨年は、戦後70年の節目の年であり、沖縄戦をはじめ先の大戦で犠牲となった人々のみ霊を慰めるとともに、平和を願う気持ちがより強まった年でした。世界の平和を願う発信地である沖縄県、その県都那覇市の市長として、平和の尊さを次世代に伝えていくことを固く心に誓いました。
 米軍統治下において、長く自己決定権をないがしろにされてきた私たちには、地域のことは住民の意志で決めたいという強い願いがあります。その思いがしっかりと反映される地方自治こそ、民主主義国家の根幹だと考えます。
 一方で、辺野古に目を向けると、国は「辺野古推進が唯一の解決策」との主張を繰り返し、新たな基地建設を強行に進めています。本来、国と地方自治体の関係は互いを尊重しあう立場であるにも関わらず、沖縄の声を力でねじ伏せようとする国の姿勢は、地方自治の本旨に反しており、断じて見過ごすことはできません。このことは、地方自治や地方分権の観点から見た民主主義のあり方として、すべての地方自治体に共通する問題ではないでしょうか。
 翁長知事は、強硬手段をとる国に屈することなく、選挙で示された民意の尊重を訴え続けています。揺るぎのない姿に、沖縄へ共感する声は確実に広がっており、私たちに大きな勇気と誇り、自信を与えてくれます。私はこれからも、知事の行動を支持してまいります。
 今後もさまざまな場面、機会をとらえて、国内をはじめ国際社会に沖縄の実情を発信し、地方自治や民主主義を守り抜く取組みを重ねていく決意です。
 

(笑顔が輝くまちづくり)

 
 日本は、これから本格的な人口減少時代を迎えます。本市は、1980年代から人口30万人を維持し、活力ある「なは」を作り上げてまいりました。しかしながら、今後は高齢化が進むとともに、人口減少に向かうことが予測されております。
 現在、全国各地の地方自治体において、地域活性化の取組みを強化することが求められています。
 本市においても、これまでの人口動向などの分析とこれからの人口推計をまとめた「那覇市版人口ビジョン」、そして当面5年間で行うべき施策をまとめた「那覇市版総合戦略」の策定に取り組んでおります。
 地域の人が、地域ならではの視点を活かし、魅力を掘り起こすとともに、地域の強みを把握して価値を高める工夫をすることが今まで以上に必要となってきます。
 幸いなことに、本市には素晴らしい人材が揃っています。また、オンリーワンの魅力を数多く備えています。市民一人ひとりが今ある価値に気づき、自信と誇りを持つことから将来への可能性が花開くものと信じています。
 県都としての求心力を活かし英知を結集して、これからもみんなの笑顔が輝くまちづくりに取り組んでまいります。

(より効果的な自治体運営を)

 
 全国的な少子高齢化の進展に伴い、本市においても人口構造や財政状況が変化していきます。生産年齢人口が減り、税収等の歳入が減る一方で、歳出は拡大します。公共施設の遊休化が進み維持管理コストが重くのしかかり、また、扶助費についても増加に歯止めがかかりません。
 地域の課題や市民のニーズに応えるためには、人口動態に基づいて、教育や福祉等、将来予測を数値化し、その情報、危機感を共有したうえで、責任を持って未来に残すものを選択していかなければなりません。
 厳しい時代であるからこそ、中長期的な視点にたって、人口構造の変化や財源を考慮したうえで、ソフトとハード両面から、より効果的な行財政運営に努めることが必要だと考えています。

(第5次那覇市総合計画の策定に向けて)

 
 本市の第4次総合計画については、残す期間があと2年となりました。そこで、これから新たな総合計画の策定に向けて作業を進めてまいります。
 協働によるまちづくりを進める本市としましては、総合計画の策定にあたり、市民の皆様の参画が必要不可欠だと考えております。
 本市では、これまで、各地域・各分野において協働によるまちづくりに意欲のある方を対象に「なは市民協働大学」を開催し、協働の輪をつなげてまいりました。さらに、上級編の「なは市民協働大学院」を開講し、まちづくりコーディネーターとして地域で活躍する人材の発掘・育成の場として深化させ、協働のネットワークを広げております。
 第5次総合計画については、このような場を活用して市民の皆様と活発な議論を交わしながら取り組みを進め、平成29年度末までに策定いたします。
 この新たな総合計画を「ひと つなぐ まち」の羅針盤として、子どもからお年寄りまで一人ひとりが互いに理解し合い、存在を認め合う、市民が幸せを感じるまちづくりに向けて取り組んでまいります。

(あたたかくつながる協働)

 
 まちづくりの主体・担い手は、ほかならぬ市民であるということが、協働によるまちづくりの原点です。地域の課題を発見、共有し、みんなで考え協力して解決することこそ地方自治の本質です。よりよいまちづくりというベクトルを社会全体で共有しながら、職員のスキルをさらに高めるとともに、市民力・地域力の向上についても総力を挙げて取り組みます。
 真の協働を推し進めるには、ひとや地域のつながる力を最大限引き出す仕組みづくりが必要と考えます。「人」「知恵」「情報」といった様々な地域資源のつながりや交流をさらに活性化させることで相乗効果が生まれ、より大きな力が発揮されます。
 本市では、様々な場面で地域人材の活力を求めています。しかしながら、地域やボランティア団体では担い手の減少や情報が不足している現状があります。
 そこで、実際に地域で活動している方や、意欲のある人材をつなぎ、地域のニーズとマッチングする仕組みとしての(仮称)人材データバンクについて検討を始めています。教育や福祉をはじめとする様々な分野において、地域のボランティアの力をつなぐ仕組みづくりに積極的に取り組みます。
 地域内外の様々な担い手の協力や連携の輪をつなぎ、行政と市民のパートナーシップを密にしながら、誇りと自信を持って、より成熟した協働のまちづくりをともに進めてまいりましょう。

(新たなコミュニティへの期待)

 
 本市における地域コミュニティとしては、これまで各地域の自治会が地域の核としての大きな役割を担ってきました。地域に根ざしたコミュニティは、協働によるまちづくりの基盤です。
 現在、コミュニティのエリアをさらに拡大し、新たな結節点として、小学校を地域の拠点とする取り組みを進めております。小学校区をエリアとし、校区内で活動する自治会を中心に、PTAや地域で活動する団体・組織が、それぞれの目的や活動を尊重しあい、緩やかに連携・協力する、まちづくりの新たな仕組みです。
 小学校区ごとにまちづくり協議会を設立することによって、子どもたちを地域住民で見守るほか、PTAなど若い世代を含めた住民同士の交流が促進され、地域でリーダーとなる人材の発掘・育成にもつながります。
 市民にとって身近な、小学校区というエリアでの地域づくりは、まさしく行政だけでは成しえない、協働によるまちづくりの実践です。今後もさらに、連携の輪をつなぐ仕組みを着実に広げていきたいと考えております。
 人と人をつなぎ、人と地域をつなぐコミュニティの構築が「ひと つなぐ まち」の礎となり、地域への愛着や誇りの持てる、温かい見守り力のあるまちづくりにつながっていくことと期待しております。

(子どもたちへ温かいまなざしを)

 
 私は長年、教育現場に携わってまいりました。市長の職に就いて2年目の今、改めて思うことがあります。子どもたちの教育については学校教育にとどまるものではなく、幅広い分野で関わりがあるのだ、ということを強く実感しております。
 生まれてすぐから、すでに、人材育成は始まっています。福祉の分野、子どもの分野、そして学校教育など「未来を担う人材育成」は、市長としての私の核となるものだと考えています。
 本市では、人材育成の土台としての学力向上や不登校対策に幅広く取り組んでおります。
 また、「子育てがしやすい那覇市」の実現も強く求められています。待機児童解消は市民が最も望んでいる課題であり、安心して子どもを預けることのできる充分な受け皿を整備するため、優先して財源を確保し、多角的な取り組みを推進します。子育てに光をあてることで、子どもが健やかに成長し、親ものびのびと社会で活躍することができます。家庭や地域に活力が増し、ぬくもりある笑顔が広がるまちづくりをすすめてまいります。
 さらに、特別支援学校の新設を求める声も高まっています。保護者の皆様の切実な思いを重く受け止め、県と連携してしっかりと取り組みたいと考えております。

(子どもの貧困対策)

 
 今、最優先で取り組むべき課題は、子どもの貧困対策です。親の所得格差が、責任のない子どもたちに転嫁されてはなりません。このために、子どもたちの未来が摘み取られることのないよう、幅広くサポートしていきたいと考えております。
 貧困の世代間連鎖を断ち切るため、本市ではこれまで、ひとり親世帯の就労支援や就学援助、不登校児童生徒の登校復帰支援や学習支援など、様々な取り組みを進めてまいりました。その特筆すべき成果として、生活保護世帯における高校進学率が目覚ましい勢いで増加していることがあげられます。
 子どもたちのいる学校現場から、各分野での施策へとスムーズに支援をつなげていくために、庁内で横断的な組織を立ち上げ、スピード感を持って着実に取り組みをすすめております。
 今年度より、国の大きな後押しを受けて、子どもに寄り添う支援員を、見守りの拠点となる学校へ順次配置してまいります。さらに、子どもの居場所を増設するなど、問題を抱えている児童生徒への支援を拡充します。
 すべての子どもたちが、自らの理想の未来を思い描ける環境を手にし、夢と希望を持ってこれからの人生を力強く歩んでいくことができるよう、学校現場と連携した総合的な取り組みにより子どもを取り巻く環境の改善を図ってまいります。

(明るい光を放つ観光都市)

 
 観光という言葉は、「観る」と「光」という二つの文字からできており、「その土地の光を観る」ことだと言われています。
 本市には、万国津梁の都として栄えた古の歴史の香りが今もなお息づく情緒あふれる街並み、伝統文化など、独自の輝きが数多くあります。琉球王朝時代より育まれてきた迎恩の心で世界中の皆様を温かくもてなし、色とりどりに輝く光を存分に味わっていただけるよう、独自の魅力を磨くことが本市の発展につながります。
 現在、沖縄振興にとって大変重要な時期だと考えております。素晴らしい観光資源はたくさんありますが、手をこまねいているだけではなく、新しい切り口で付加価値を高める工夫が必要とされています。
 急増するクルーズ船の寄港や、航空路線の拡充に伴い増加する外国人観光客への対策として、グローバル化への取り組みにも力を入れてまいります。
 加えて、今年は第6回世界のウチナーンチュ大会が開催されます。海外、県外の県系人が一堂に会するこのイベントの開催を心から歓迎するとともに、ふるさとの伝統・文化を味わってもらえることを大いに期待しております。
 2020年には東京オリンピックが開催されます。この好機をとらえ、スポーツコンベンションシティーとしての可能性をひろげるとともに、更なる集客へつなげるため、バレーボールや野球のキャンプ候補地として準備をすすめてまいります。
 本市における、これまでの観光、これからの観光。先人たちが築いた伝統文化を礎に、これからの新たな歴史を創っていくのは、今を生きる私たちです。先人たちに誇れる国際観光都市を目指して、全力で取り組みをすすめてまいります。
 
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