平成31年度施政方針

更新日:2019年3月18日

平成31年度(2019年度)施政方針

 はいたい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
 昨年11月、市民の皆様から再び負託を受け、私は第33代那覇市長に就任いたしました。
 32万市民の幸せを願い、本市のさらなる発展に向け、全力を尽くしていくことを、改めて決意した次第でございます。
 「やさしく、温かく、こまやかに、心をひらく、未来をひらく」この信念の下、市民の皆様にお約束した公約の実現に向け、精力的に取り組んでまいります。
 本市議会の皆様におかれましては、よりよい市政の実現に向け、ご理解、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 それでは、平成31年度の施政方針と予算案、主要事業をあわせてご説明申し上げます。
ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。
 

市政運営の基本方針

(平成の終わりに平和を想う)

 
 まもなく平成という時代が幕を閉じようとしています。
 天皇陛下は、85歳のお誕生日に際し、「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています」とのお気持ちを述べられました。
 このお言葉に象徴されるように、「平成」は、国の繁栄とともに、心から平和を希求した時代であったのではないかと感じております。
 その平和を願う想いは、先の大戦で、苛烈を極めた地上戦を経験し、多くの人命を失った沖縄にあっては、より深く、人々の胸に刻まれているのではないでしょうか。
 昨年末、本市宇栄原において、過去2例しかない、不発弾の現地爆破処理を行いました。関係者の尽力により、この大変危険な作業も、無事、完了しましたが、処理時に生じた低い爆発音と振動に、今なお残る戦争の爪痕を痛感いたしました。
 当時、このような砲弾が「鉄の暴風」として、地形が変わるほど激しく降りそそぎ、先人の生活の場が、焦土と化したことを思うと、胸に迫るものがありました。
 私たちの子や孫に引き継がなければならない明るい未来は、何よりも平和がその礎となります。
 平成の終わりを目前に控え、私は改めて、平和を希求する思いを強くしております。
 

(米軍基地負担のあり方と日米地位協定)

 
 復帰から46年を越えた今なお、沖縄県民は、米軍基地の過重な負担を余儀なくされています。 基地負担のあり方については、県民だけが向き合う事柄ではなく、国民全体で考えていかなければならないと思っております。
 また、米軍基地から生じる諸問題の解決を図るためには、原則として日本の国内法が適用されないまま、米国側に裁量を委ねる形となる運用改善だけでは不十分であり、日米地位協定の抜本的な見直しが求められています。
 全国知事会は、米軍基地がない自治体を含め、全会一致で、日米地位協定の抜本的見直しを初めて採択し、昨年8月、日米両政府に提言しています。
 この問題は、米軍基地が集中する沖縄という、一地域だけの問題ではなく、我が国の外交、安全保障や国民の人権、環境保護、そして何より、日本の主権についてどう考えるかという、極めて国民的な議論が必要だと考えております。

(市民力・地域力を育み、高める)

 
 私の市政運営の土台となるものは、「協働によるまちづくり」であります。
 まちづくりは行政だけで実現できるものではなく、その主体・担い手は、ほかならぬ市民であります。
 私は、市民が持つ「市民力」、そして、市民がつながり、地域に生まれる「地域力」には、無限の可能性が秘められていると信じています。
 その市民力や地域力を育み、高めていく上で、ひとつの鍵となるものが、校区まちづくり協議会です。私は、すべての小学校区に協議会が設立されることを、目標としております。
 現在、設立済みの校区は8校区を数え、地域の実情に応じ、様々な活動を展開しています。その活動に触発され、準備会を設置するなど、設立に向けて機運が高まっている校区も確実に増えてまいりました。
 今後とも、地域の合意形成を大切にしながら、協議会設立に向け、しっかりと後押ししてまいります。
 この新しい地域コミュニティによる「協働」を、市内各地域に行き渡らせ、活動の幅をさらに広げていきたいと考えております。

(次代をつなぎ、未来をひらく)

 
 子どもとの関わりは、次代を担う人材育成の出発点です。私は、待機児童解消や子どもの貧困対策、子ども・子育て支援策の拡充を、引き続き重要政策として掲げております。
 待機児童問題は、これまで保育施設の整備を進め、施設数を約1.9倍に、定員は約1.5倍へと大幅に引き上げることができました。待機児童解消に向け、次なる課題となっている、不足する保育士の確保対策に全力を挙げていくとともに、保護者のニーズに、よりこまやかに応えられるよう、努めてまいります。
 また、来る4月には、すべての公立幼稚園が認定こども園へと移行します。保育と幼児教育の一体的な提供に向け、さらなる質の向上、充実を図るとともに、その先へと続く、小学校入学を見据え、発達や学びの連続性を重視してまいります。
 沖縄県の子どもの貧困率は、県小中学生調査の中間報告によれば、前回調査時に比べ、4.9ポイント改善しました。しかしながら、全国平均の約1.8倍と、深刻な状況はまだ続いております。本市は、貧困の連鎖を断ち切るため、腰を据え、長期的な支援を継続してまいります。
 そのほか、ら・ら・らステーションを始めとした、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援、放課後の子どもの居場所づくり、こども発達支援センターの設置など、子どもたちに寄り添い、妊娠や出産、子育てについて相談できる環境を整えていきます。
 本市は、次代をつなぎ、未来をひらく施策を、これまで以上に、積極的に展開してまいります。

(人間力を高める人材育成)

 全国学力・学習状況調査では、本市の中学校は、全国平均に近づき、また、小学校はすべての教科で、全国平均を上回りました。
 学校現場でのたゆまぬ努力、小中一貫教育の推進、子どもの視点に立った環境づくり、そして、子どもの貧困対策を始めとした教育と福祉の連携強化など、これまでの取組みが、着実に実を結び始めていると感じます。
 一方、AI時代の到来が現実味を増し、私たちの労働環境、社会が激しく変化するとともに、「どう生きるか」が、重視される時代に突入しようとしています。
 「魚を与えるのではなく、釣り方を教えよ」という、言葉がありますが、「釣りの楽しさを伝えよ」。このような視点が、これからの時代の人材育成には、求められているのではないでしょうか。
 2020年度より、小学校では、新学習指導要領が完全実施され、アクティブラーニングの視点を盛り込み、プログラミング教育などを、新たに導入することとされています。
 最も住民生活に近い自治体の長として、より積極的に5年先、10年先を見据えた人材育成を行なっていく必要性を強く感じております。
 私は、教育委員会とも連携しながら、学力の向上はもとより、未来を担う子どもたちが、これから大きく変化していく社会を、しっかりと自らの目で見極め、たくましく生きていけるよう、人間力を高める人材育成を目指してまいります。

(那覇を支える「働く人」の支援)

 本年1月、那覇空港内のMRO施設が運用を開始しました。国内外の航空機整備需要等を取り込むことを目指しており、今後、関連産業を集積することで、沖縄の新たな産業を創出していくことが期待されています。
 また、那覇港では、総合物流センターがまもなく開業し、付加価値型産業の集積が目指されています。
 空と海の玄関口を擁する本市を舞台に、新たな産業の創出や集積が進めば、本市の求心力がさらに高まり、多様な人材を本市へとひきよせ、その厚みが増すとともに、人の広がりが生まれ、次の相乗効果が引きだされていくものと、私は期待しております。
 一方、沖縄が持つ成長可能性に期待し、国内外より投資や企業立地が増加している中、市内中小企業においては、需要をうまく取り込めず、成長の波に乗り切れていない面も見受けられます。
 市内中小企業が、好調な県経済の恩恵を掴みとり、また、生産性を向上させ、新しい価値を生み出し、稼ぐ力を高めていくためには、人材育成を柱とした、「人」に対する支援、このことが、本市の役割として強く求められていると、私は感じております。
 本市は、大学や高等教育機関、民間企業などと連携しながら、高度人材の育成を実践している企業への支援、経営者等を対象に海外への販路拡大など、経営力強化に繋がるセミナーの開催、そして、多様な働き方や外国人材の確保に関するアドバイザーの派遣など、那覇を支える「働く人」の支援を充実させてまいります。

(文化芸術の発信とまちづくり)

 
 市民、県民が待望する本市の文化の殿堂、新文化芸術発信拠点施設の安全祈願祭、起工式が去る12月に無事、執り行われました。2020年度末の竣工に向け、鋭意取り組んでまいります。
 新しい拠点施設では、沖縄の文化、伝統芸能の継承・発展のみならず、新たな文化の創造・発信の場、優れた文化芸術にふれ、育て・交流する場として、本市の魅力を高めていくことを目指してまいります。
 そして、多数の商業施設や宿泊施設が立地するという、地の利を最大限に生かし、新たなにぎわいを創出することで、多くの市民や県民、観光客が施設周辺へと足をのばし、中心市街地の活性化、観光や経済振興等、波及効果をもたらしていくことを期待しています。
 また、新たに市内で夜に楽しめる観光コンテンツ等を創出するための調査を実施します。参加交流型ナイトアミューズメントの場として、新文化芸術発信拠点施設を活用していくことも進めてまいりたいと考えております。

(「人を呼ぶインフラ」としてのLRTへの期待)

 
 多くの市民や観光客の足として定着したゆいレール。公共交通に対する市民意識を変革しただけではなく、まちづくりにも大きく寄与してきました。
 ゆいレールと同様に、本市のまちづくりへの新たな役割が期待されるのが、LRT(次世代型路面電車)です。
 LRTを含む路面電車は、高齢社会に対応する新たな交通手段として、また、まちづくりに必要なツール、いわば「人を呼ぶインフラ」として、全国で脚光を浴びています。人に優しいLRTは、本市の「ひきつける力」を一層、輝かせるものであり、今こそ、LRTへの向き合い方を、さらに高めていかなければならないと、私は認識しております。
 那覇空港と首里地域を結ぶ、南北の基幹路線としてのゆいレールに加え、LRTが新たなエリアに路線を広げ、併せて、バスによるフィーダー線の整備が進めば、本市の交通ネットワークがさらに充実し、都市としての魅力を格段に高めるものと確信しています。
 私は、住むまち、働くまち、訪れるまち、那覇のまちの未来地図に、新たな彩りを加える、LRTの導入実現に向け、着実に歩みを進めていく決意であります。

(Society5.0の実現へ向けて)

 
 国は、IoTやAIなどの新たな技術、自動運転やドローンなどの技術革新を、ビジネスや人々の暮らしに取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立させていく、Society(ソサエティ)5.0の実現を目指しています。
 自治体においては、今後、人口減少により、生産年齢人口、特に若年層が減少していく中、税収の減少だけでなく、職員の担い手不足により、提供する行政サービスの質や量を、担保できなくなることが危惧されています。
 厳しい環境においても、本市が提供する行政サービスの質を維持し、向上させていくためには、職員の労働生産性の向上と併せて、業務の効率化・省力化を進めていかなければなりません。
 昨年は、AI、RPAを中心に、新技術等の行政サービスへの進出が、大きく動き出した年でありました。
 様々な自治体が取組みに乗り出し、本市においても、特定健診勧奨業務の一部にAIを導入し、また、税務部門において、RPAの実証実験を開始しています。
 本市は、持続可能でかつ効率的な行財政運営を推進するとともに、市民の利便性をより高めていくため、新技術等を積極的に取り入れ、スマート自治体への転換を図り、Society(ソサエティ)5.0の実現に挑戦してまいります。
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