平成30年度施政方針

更新日:2019年3月18日

平成30年度(2018年度)施政方針

 はいたい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
私が「平和・こども・未来-ひと つなぐ まち-」を高く掲げ、那覇市長に就任してから、はや3年の歳月が流れました。この間、政策の一丁目1番地とした、待機児童の解消をはじめとするこども政策や新たに二丁目1番地に位置づけた、経済振興政策を中心に幅広い施策を積極的に進めてまいりました。
 また、皆様との約束である公約についても、多くは順調に推移し、概ね達成しつつあると自負しています。
 これまで、ご理解とご協力をいただいた市民の皆様、厳しくも愛情のある叱咤激励をいただいた本市議会の皆様に改めて心より感謝を申し上げます。
 私に与えられた任期も残すところ9ヶ月となりました。
 「人がまちを創り、社会を創り、世界を創る」。この言葉に託した初心を忘れず、今日までの歩みを謙虚に振り返りながら、引き続き、情熱と覚悟を持って、全力を傾けていく所存であります。
 ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。
 それでは、平成30年度の施政方針と予算案、主要事業をあわせてご説明申し上げます。
 

市政運営の基本方針

(未来を拓く第5次那覇市総合計画)

 
 未来への夢が広がる第5次那覇市総合計画がいよいよ動き出します。なは市民協働大学院での熱心な議論を基に、次代を担う中高生や経済を支える事業者などの幅広い声を紡ぎながら、有識者の専門的な意見を重ねてきました。また、本市議会も、議会基本条例のもと、精力的にご参画いただき、互いに多角的で真摯な議論を交わしてきました。
 それぞれの熱き想いが託された新たな総合計画は、協働を深化させるとともに、まちづくりの羅針盤として、今、私達の間で確実に共有されたと考えています。
 総合計画では、まちづくりの基本的な姿勢として、「協働・平和・共生・活力・共鳴」の5つの「絆」を築くことを掲げました。これらの「絆」が、私達を結びつけ、やがて面として、市全体に広がりゆくことは、私の目指す「ひと つなぐ まち」そのものとも言えます。これからも、まちづくりの担い手一人ひとりの結びつきを強く意識していきます。
 さて、本市は、この計画期間中に、市制施行100周年の大きな節目を迎えます。目先の10年にとどまることなく、次の100年にも想いを馳せなければなりません。先人が築いてきた伝統に、新たな発想と視点を重ね、本市に、さらなる輝きと揺るぎなき風格を生み出し、次世代の笑顔が未来に広がるよう、新しい総合計画とともに、確実な一歩を踏み出してまいります。
 

(平和で活気溢れる風景を求めて)

 
 「またか」と、ため息がでるほど、米軍関係の事件事故が後を絶ちません。無謀な飲酒運転により尊い命が奪われ、こども達が安全な日常を過ごすべき場所に空から部品が落下し、ヘリ不時着が相次いだことに言葉を失いました。命が脅かされる日常に強い憤りを禁じえません。
 これらの事件事故は、米軍専用施設が集中する過重負担と米軍に認められる特権的な地位の不条理を、より一層あらわにし、平穏な生活を願う私達を苦しめています。
 日米安全保障条約と日米地位協定。今、真正面から向き合わなければならない大きな問題です。安全保障を米国に委ねる我が国において、日米安全保障体制の維持に伴う負担は、国民すべてが等しく負わなければなりません。また、不平等な内容であり、理不尽さが際立つ地位協定は、日本国内のどこであれ、国民の生命財産、尊厳を守るために、直ちに改定されなければなりません。
 県民の大多数が戦後生まれとなり、米軍基地に翻弄される沖縄の現実は時として、さも当たり前の風景であるかのような錯覚に陥ることがあります。しかし、これだけは絶対に当たり前の風景にしてはなりません。平和で活気に溢れ、人々の明るい声がこだまする、この地にあるべき本来の風景を取り戻さなければなりません。
 米軍基地の整理縮小、日米地位協定の抜本的改定を強く求め、これからも市民の皆様、本市議会の皆様と心をひとつに、しっかりと声を上げてまいります。

(未来を生きるこども達のために)

 
 私の市長就任後、待機児童は解消に向け、大きく前進しました。市民の皆様、何より多くの保護者の皆様から直接、たくさんの喜びの声をいただきました。市政を預かる者として、大きな励みになるものです。
 しかしながら、待機児童問題の解消は、こども政策、子育て支援の一部、ほんの入り口の問題に過ぎません。
 保育の受け皿拡大と同様、就学後の受け皿づくり、こども達の放課後の居場所づくりについても、あるべき姿を考え、追い続けていかなければなりません。
 さらには、子どもの貧困対策、妊娠期から始まる子育て世代への支援、児童虐待予防、ひいては学力向上と、様々な場面で量や質の向上が求められています。
 近年、喜ばしいことに、子どもの貧困対策をその大きな契機として、地域やNPO等の各種団体、そして企業へ、こども政策、子育て支援に対する理解が深まるとともに、支援の輪が拡がりを見せ、活発化しています。
 こども政策、子育て支援は、行政だけで成し得るものではありません。何より子育てに関わることは、私達大人を人間として成長させてくれます。家庭、地域、企業、そして、社会全体がこども達を見守り、一緒に育て、こどもと大人が共に成長していく。それがこのまち全体に浸透し、共有されていくことを私は望んでいます。
 未来を生きるこども達のため、共に取り組んでまいりましょう。

(稼ぐ力を高める)

 
 県経済は堅調な観光業が牽引し拡大を続けています。入域観光客数1千万人時代もすぐそこまで迫りました。加えて、本市は民間会社のランキングにおいて、そのポテンシャルの高さが評価され、成長可能性の高い都市としてトップテン入りを果たしています。本市の持つ成長可能性を着実な経済成長につなげるべく、経済振興政策を展開し、本市の「稼ぐ力」を高めていきます。
 復帰以降、本県のインフラ整備は急速に進展しました。しかし、県民所得は依然、全国最下位であり、本土との経済格差が大きな問題として残っています。
 経営思想家、ピーター・ドラッカーは、あらゆる組織は自己中心的に振る舞うが、能力を損なわない限度において社会的責任を負い、社会全体の問題は組織のリーダー達の共同責任であるとしました。そして、戦後間もない日本の大企業の経営者が「日本のため、日本の社会のため、ひいては日本経済にとって最善とは何か」という問い掛けから事業を考えたことが戦後の復興、経済的な発展につながったと紹介しています。
 私は、組織のリーダーのひとりとして、沖縄社会が抱える本土との経済格差という問題に向き合い、その縮小を目指します。「沖縄のため、沖縄の社会のため、ひいては沖縄経済にとって最善とは何か」。この思いを共有する、志高き企業や起業家等との連携、あるいは支援を通して、本市は次なるステージへの飛躍を目指してまいります。

(健康、差し迫った危機を乗り越えるために)

 
 昨年12月に、厚生労働省がまとめた「2015年都道府県別生命表」が発表されました。
 本県の平均寿命順位は、男性が36位、女性は7位と前回調査よりも後退しました。しかし、何より残念であることは、65歳未満の働き盛り世代の死亡割合が、男女共に全国ワーストであり続けているという事実です。
 報道に併せた特集記事を読み、私は胸を引き裂かれる思いがしました。「家族に迷惑をかけているという罪悪感にたびたび襲われる。病気になったらその時はその時と言っていた過去の自分に、今の生活を見せたい」。この偽りの無い男性の言葉は、長寿県の復活といったこと以前の差し迫った危機を伝えるものであり、働き盛りの市民の皆様、特に、これまでご自身の健康にあまり関心を寄せてこなかった市民の皆様へ改めて伝えたい、伝えなければならない、そう、私は痛感いたしました。
 病気になることを自ら望む人はいません。それでも、喫煙や多量飲酒、栄養の偏った食事や運動不足等の生活習慣の乱れは、体を徐々に蝕んでいきます。差し迫った危機を乗り越えるためにも、まずは、健康状態を知ること、健康診断を受けることから始めてください。そして、生活習慣を見直し、健康づくりに取り組みましょう。
 本市は、高齢者からこどもまで、市民全世代の健康づくりを引き続き支援するとともに、生活習慣病の重症化予防に向けた取組みをより一層、強化してまいります。

(文化芸術、伝統芸能の継承と発信)

 
 道ジュネーの響きに家から駆け出した幼き日々。夕暮れ時、家路を急ぐ私の歩みを止まらせた、どこからともなく聴こえた優しい三線の音色。
 この地の気候風土、異文化との交流の中、先人達が花開かせ、独自に発展させてきた文化芸術、伝統芸能の数々に、私達のアイデンティティは育まれてきました。これらの誇り高き伝統を継承、発展させ、確実に次世代へつないでいかなければなりません。
 一方、残念なことですが、一昨年、耐震性等の課題から、長年、文化の殿堂として親しまれてきた那覇市民会館を休館せざるを得なくなりました。安全確保のためとは言え、こども達を始めとする市民の皆様の大切な機会を閉ざしたことに、私も大変、心苦しく思っています。
 現在、久茂地小学校跡地に建設を進めている新文化芸術発信拠点施設は、これまで市民会館が果たしてきた機能や役割を引き継ぐとともに、新たな文化を創造し、未来へ発信する施設となります。そこから生まれる豊かな文化は、ソフトパワーとして、本市のまちづくりに大きな力を与えてくれるものと確信しています。
 市民が優れた舞台に接する機会をつくるとともに、新たな担い手の育成・交流を促進し、地域文化をさらに発展させるため、3年後の市制施行100周年という、節目の年の開館を目指し、関係者が待望する新文化芸術発信拠点施設の整備に全力で取り組んでまいります。

(協働のさらなる高みを目指して)

 
 新しい総合計画には、身近で助け合う「近助」というキーワードが盛り込まれています。自助、共助、公助と連なる枠組みのなかで、「近助」は、思いやりや譲り合いの心を基本に自然に出てくる助け合いを指しています。
 私達の日常の営みは、社会が多様化し、複雑化する中で、様々な考え方や価値観が対立し、意見がまとまらないこともあります。しかし、「人間は社会的動物である」と言われるように、他者との関わりなしには生きていけません。だからこそ、沖縄の黄金言葉の「ちゅい 助き 助き」「ちゅい たれー だれー」にも通じる、「近助」という言葉に、改めて大きな意義を感じています。
 さて、本市では、小学校区単位での新たなコミュニティをつくる、校区まちづくり協議会の設立を推進し、設立に向けた支援を行っています。今後は、校区まちづくり協議会をより発展させるべく、人材データバンクとの連携を始め、医療、介護、保健、福祉、さらには企業といった、様々な地域資源が地域住民と結びつく、新しい地域社会の創造に向けた仕組みづくりに取り組みたいと考えています。
 「公助」としての責任を果たしつつ、市民の皆様に「近助」を身近に感じていただき、自助、近助、共助、そして、公助が連動する新しい仕組みを創りあげ、人と人、人と地域が支え合う社会を築き、私達が追い求めてきた協働を、さらなる高みへと昇華させてまいります。

(交通問題への挑戦)

 
 ゆいレールが街中を走り出し、まもなく15年を迎えます。多くの市民県民、観光客に親しまれている一方で、沖縄は変わらず車社会であり続けています。市内の至る所で渋滞が発生し、本市の交通渋滞は全国一ひどい状態だと言われています。渋滞は、市民生活の負担となり、貴重な時間と労働力を奪い、経済的損失を多大なものとしています。また、今後の沖縄観光に対する悪影響も懸念されています。今こそ、自動車主体の社会から公共交通機関を主体とする社会へ転換を図る必要があります。
 ゆいレールの浦添延伸、沖縄自動車道との接続によりパーク&ライドが実現することで公共交通機関利用の促進が期待されています。また、バス利用を促す取組みとして、関係機関による基幹バス導入を中心とした、路線網の再編、高校生を対象とした社会実験等、様々な取組みが実施、検討されています。しかし、これらの取り組みを成功させ、確かなものとするためには、市民自身がこの問題の当事者であり、自分事であるという意識を強く持ち、行動を変えていくことが何より重要となります。
 私は、本市のまちづくりについても、自動車に頼り過ぎず、高齢者などの交通弱者や環境にも優しく、また、市民の健康づくりにも貢献することを意識していきます。そして、本市を取り巻く交通問題に対する市民の意識を変え、行動を変える仕組みを作ることを目指し、国や県と連携しながら、力強く取り組んでまいります。
 
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