令和3年度施政方針

更新日:2021年2月9日

 はいたい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
 私たちは今、大きな試練の渦中にあります。新型コロナウイルスの感染拡大により、日常生活が一変しました。
 そのような中、本市は市制施行100周年を迎えます。今こそ、心をひとつに、力を合わせ、この困難を乗り越えていかなければなりません。
 記念すべき節目の年を、逆境に立ち向かい未来を創る挑戦の年として全力を尽くす覚悟です。
 市民の皆様並びに本市議会の皆様におかれましては、より良い市政の実現に向け、格段のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 それでは、令和3年度の施政方針と予算案、主要事業をあわせてご説明申し上げます。
 ゆたさるぐとぅうにげーさびら。

市政運営の基本方針

ウィズコロナを生きる

 新型コロナウイルス感染症は、感染者数の増加に歯止めがかからず、依然として厳しい状況にあります。
 安心できる日常を取り戻すためには、私たち一人ひとりが、自身はもちろんのこと、大事な家族や友人、隣人の命を守るとの強い思いで感染防止に努めていくことが重要になります。
 感染リスクに直面しながら、医療現場の最前線で奮闘されている皆様をはじめ、日常生活を支えるすべての皆様の尽力に対し、感謝の念に堪えません。市民の安全・安心、暮らしを守る市長としての責任を果たしていくという気持ちを強くしています。
 さて、本市では、「命を守る」「経済をつなぐ」「日常をつくる」という基本方針のもと、感染の各段階に応じた対策を幅広く実施してまいりました。未だ収束の兆しが見えず、今後も厳しい状況が想定される中、幅広いニーズを捉えた切れ目のない対策を講じていく必要があります。引き続き、適宜、適切な対策を講じてまいります。
 そして、いよいよワクチンの接種が始まります。本市では、「新型コロナウイルスワクチン接種推進室」をいち早く立ち上げ、関係機関との調整やコールセンターの設置など、円滑な予防接種に向けた準備を進めております。希望する全ての皆様が、安心かつ速やかに接種できるよう全力を尽くしてまいります。

未来を生きるこどもたちのために

 子どもたちの屈託のない笑顔には本当に心が癒されます。その笑顔を未来へつなげていくためにも、私たち大人は、子どもたちの健やかな成長のために力を注いでいかなければなりません。
 新型コロナウイルスは、子どもたちの生活や子育て環境に大きな影響を与えています。これまで抱えてきた様々な課題の深刻化、潜在的課題の表面化などに、丁寧に向き合っていかなければなりません。
 子どもの貧困問題は、感染症のしわ寄せを大きく受けています。国連児童基金(Unicef)は、ウイルス流行による子どもの経済的影響を分析した報告書の中で、少なくとも今後5年間は子どもの貧困が増し、これまでの水準を上回る状況が続くと予想しています。
 どのような状況にあっても、子どもの可能性と選択肢に制約があってはなりません。
 今後とも家庭や企業、NPOなど多様な主体の皆様と手を取り合い、課題の解決を図っていく必要があります。
 こどもは那覇の宝、私たちの希望です。すべての子どもたちが、未来に希望を持てる環境を整えてまいります。

輝く地域資源を磨く

 好調に推移していた沖縄経済は今、大きな打撃を受けています。観光客数は激減し、国際通りをはじめ市内の観光スポットから賑わいが失われる事態となりました。
 地域経済を担う事業者の皆様を支えていくため、ニーズを的確に捉え、国や県とも連携を図りながら、引き続き事業継続のための支援を適切に講じてまいります。
 コロナ禍の今、私たちには何が求められているでしょうか。経済の専門家は、回復する力「レジリエンス」を示し、危機から起き上がるための底力を備えておく必要性を提起しています。
 ありがたいことに本市は、民間調査によるランキングにおいて、住みたいまち、魅力あるまちとして、上位入りを果たしています。
 迎恩の心や伝統文化、何物にも代え難い自然、地理的優位性など、独自の輝きが魅力を上げているものだと思います。そして独自の輝きこそが、「レジリエンス」の源ではないでしょうか。
 改めて地域の魅力を再認識し、アフターコロナ時代に必要な変化と融合していくことが、持続的な経済発展につながるものと考えております。
 脈々と受け継がれてきた地域資源という財産を常に磨き上げ、訪れてみたい、住んでみたいと思われるような、選ばれるまちづくりに取り組んでまいります。

未来へつなぐ平和の心

 いつまでも平和な毎日でありたい。誰もがそう願うと思います。
 戦後75年の節目の年であった昨年は、沖縄戦をはじめ、先の大戦で犠牲となった人々のみ(たま)を慰めるとともに、平和を願う気持ちがより高まった年でした。
 時の経過とともに沖縄戦の体験者が少なくなり、歴史の風化が危惧されています。次の世代に戦争の実相と教訓を伝えてきた語り部の訃報に接しますと、本当に胸が詰まります。同時に、平和のバトンを次世代へつないでいく決意を強くしております。
 記憶を伝える体験者が少なくなる中、「物言わぬ証言」となる戦争遺構の重要性も増しています。
 旧日本軍第32軍司令部壕は、沖縄戦の実相を現代に示す貴重な戦跡であり、恒久平和への気持ちを育む、平和教育に欠かせない場所です。保存継承に向けて、今後も沖縄県と連携して取り組んでまいります。
 平和こそが発展の礎です。すべての人々が戦争の不条理や愚かさを知り、「(ぬち)どぅ宝」の思いを胸に刻むことを願いながら、平和を希求する心を発信し続けてまいります。

(ふる)きを(たず)ね、行動を起こす

 いよいよ本年5月20日に、本市は市制施行100周年を迎えます。
今日(こんにち)に至る那覇の発展は、多くの先達の知恵と経験の積み重ねであり、市民一人ひとりが那覇を想う心を紡いできた証です。戦後の復興や祖国復帰、中核市への移行など、先達のあゆみを振り返ると、改めて那覇の発展に尽くしていきたいという思いを強くしております。
 今を生きる私たちは、次の100年に向けて確実な一歩が踏み出せるよう、新たな礎を築いていかなければなりません。その鍵となるものが、県都として備えた「求心力」を活かすことではないかと考えます。
 求心力があるところには、ヒトやモノが集い、出会い、新しいコトが生まれます。新たなコトは価値を生みだし、社会に変革をもたらす力となります。そこにヒトやモノが惹きつけられ、魅力が積み重なる。このプロセスにチャレンジしていける環境を整えていくことが、本市の求心力を力強く昇華させていくことにつながるものと考えております。
 歴史に学び、そこから新しい知識を導くことを意味する「温故知新(おんこちしん)」という言葉があります。私はその言葉に、新たな行動を起こし挑戦していくという思いを重ね「(おん)()()(しん)」と表し、この節目の年を、未来に向かって行動を起こす契機としてまいります。

豊かに紡ぐ協働の絆

 市政運営の礎としてきた「協働によるまちづくり」。20年余に渡り、市民の皆様とともに、その裾野を点から線に、線から面に広げる取組を進めてまいりました。
 コロナ禍の厳しい状況においても、多くの市民や団体の皆様が、ボランティアによる支援の行動を起こしていることに、改めて那覇に根付いた「協働の力」を感じております。
 近年、身体的・精神的・社会的にも満たされた状態を表す「ウェルビーイング(Well-being)」という概念が注目されています。物質的な豊かさだけではなく、心の豊かさが重要視される今の時代に求められている大切な概念であると感じております。
 「協働によるまちづくり」の本質は、人とのつながりや地域の絆を感じることで喜びを見出し、自発的な活動により自らの役割と意義を認識する中で、心の豊かさを満たすことにあるのではないでしょうか。そのプロセスは、まさにウェルビーイングを高めるものであり、今後の市政運営にあたっても、強く留意してまいります。
 生活や地域を取り巻く環境は大きく変わりました。この変化を「協働によるまちづくり」を深化させていく契機と捉え、多様な活動主体の皆様とともに、協働の絆を太く紡いでまいります。その絆は幾重にも重なって立体となり、どんな困難をも包み込む温かい力になるでしょう。
 物理的な距離が求められる今、心の距離はしっかり縮め、「協働によるまちづくり」に邁進してまいります。

危機を捉え、新機軸を拓く

 新型コロナによる危機は、社会全体のデジタル化の流れを一気に加速させました。
 国はデジタル・ガバメントの構築を最優先の政策課題として位置付け、デジタル庁の創設など様々な動きをみせています。
 また、民間の他、様々な自治体において、テレワークやオンライン会議など働き方の変革が急速に進んでいます。
 本市では、行政手続きのオンライン化や、AI・RPAなどのデジタル技術の導入・運用により、市民サービスの向上に努めてまいりました。そして今、市民の行動や意識、価値観が変わるなかで、行政においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)による組織文化の刷新や業務の効率化、さらなる市民サービスの向上などが求められていると認識しております。
 環境への変化にスピード感をもって対応していくため、新たに「デジタル化推進室」を設置するとともに、庁内横断的なプロジェクトチームで、各行政分野の様々な場面において、デジタル化の優位性と利便性を実感できる施策を広げてまいります。
 コロナ禍のピンチをチャンスと捉え、ニューノーマルの時代に、より良い市民サービスを提供できる市役所に進化できるよう、全庁一丸となってデジタル化を推し進めてまいります。

賑わいを未来へつなぐ

 未来を見据えて蒔いた賑わいの種が、着実に成長し、芽吹きの時を迎えています。
 いよいよ秋には、「那覇文化芸術劇場なはーと」が開館し、その後程なく第一牧志公設市場も完成します。国際通りを挟み東西に位置する両施設は、まちづくりの拠点として、中心市街地全体に大きな賑わいをもたらすものと確信しております。
 また、那覇の賑わいを一層豊かなものにするには、市民・県民の心の拠り所である「首里城」の復興が不可欠です。その復興に向けた取組も前進しており、風格ある歴史的環境を創出する首里のまちづくりに、国、県とも連携を図りながら取り組んでまいります。
 そして、本市のみならず県全体の振興を考えるうえで重要となるのが、那覇軍港の着実な跡地利用です。返還合意から47年が経過する中、事態も動き出しております。力を尽くしてこられた全ての方々の思いをしっかり受け止め、今後も地権者の皆様と協働による取組を進めてまいります。
 さて、令和3年度末には現沖縄振興計画の期限を迎えます。初めて県民が主体となって策定し、本県の振興に大きく寄与してきた同計画の必要性はまだまだ強く求められています。東アジアの中心に位置する本県は、地理的優位性から日本経済再生のけん引役として期待されており、県都である本市の活性化は、県全体の発展に直結し、ひいては日本全体に光明をもたらすものと捉えています。フロントランナーとしての役割を自覚し、次期振興計画の策定に向けた取り組みを、県を中心に全市町村が一丸となって進めてまいります。
 「賑わいを未来へつなぐ」これが私の使命であり、賑わいの種が、市内各所に芽吹き、咲き誇る花々となるよう、市政運営に邁進していく決意です。

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