平成29年度施政方針

更新日:2019年3月18日

平成29年度(2017年度)施政方針

 はいたい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
那覇市長に就任以来、はや2年の月日が経ちました。市長という重責に加え、初めてとなる女性那覇市長という栄を賜り、寄せられた期待の大きさを胸に刻んだことが思い返されます。
 以来、少しずつ、そして、確実に歩みを進め、今、任期は中間地点を過ぎ、後半を迎えました。
 皆様のご支援により、課題のひとつひとつに丁寧に向き合い、これまで偉大な先達により塗り重ねられてきた市政というキャンバスに、女性らしい温かく優しい色彩を加えることができたものと自負しております。
 今後とも市民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力を賜りながら、市政運営に全身全霊を傾けて取り組む所存であります。
 それでは、平成29年度の施政方針と予算案、主要事業をあわせて説明申し上げます。
 ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。
 

市政運営の基本方針

(地方自治における自己決定権)

 
 今年は、復帰45周年となります。復帰前に、県外の大学に進むため、パスポートを携え、ドルを円に替え学費を用立てた、あの頃が懐かしく感じます。
 当時と比べると、私たちの生活環境は大きく変わりました。道路や公園などの社会資本の整備は格段に進み、公共施設も充実しています。復帰後、数次にわたり国をあげて沖縄振興に取り組んだ大きな成果です。
 一方で、復帰前から今もなお、変わらない現実もあります。基地の過重負担に悩まされているほか、基地から派生する事件、事故も依然として後を絶ちません。
 このことは、すべての県民・市民に共通する率直な思いではないでしょうか。
 私達は、一人ひとりの切実な願いを胸に、選挙を通して何度も、その想いを示してきました。こうして示されてきた民意が、どのように取り扱われるのか、その行く末を注視しなければなりません。
 沖縄の基地問題では、民意を拠りどころにする地方自治のあり方、ひいては、この国の民主主義のあり方が、根幹から問われていると言っても過言ではないのです。
 地方自治における自己決定権が尊重されるよう、そして、明確に示された民意が、踏みにじられることがないように、私達は、これからも声をあげていかなければなりません。
 

(次世代の担い手である子ども達のために)

 
 保育所や児童クラブ等は働く親の子どもにとって、安心して過ごせる場所となっており、私も、仕事をもつ親として、その存在をありがたく感じていました。
 「1丁目1番地」の政策として掲げた待機児童対策では、保育所の創設や先駆けとなる認定こども園の設立など精力的に取り組み、保育定数の大幅な拡大を図ってまいりました。さらに今後は、保育士の確保に向けて負担軽減等にも取り組んでいきます。
 放課後の小学生の居場所として欠くことのできない児童クラブも、保護者のニーズに応えるべく、その増設に力をいれています。
 子育ては親だけで行うのではなく、保育所や学校、そして地域や企業などの支援も必要です。その一例として、放課後の子ども達へ、伝統芸能体験や学習支援など、地域の方々の力をお借りしています。子ども達にとって、身近な大人たちとのかかわり、世代を超えたふれあいは、社会に出て行く上でのワンステップとなり、未来の人材育成につながると思います。その体験は次の世代へもつながり、地域のコミュニティ育成の種蒔きになると考えます。
 また、かねてからの課題のひとつに、学力向上があります。教育長時代には、県外の先進都市の事例を研究したほか小中一貫教育も推進してきました。学校や家庭での粘り強い取り組みが、今、全国学力テストの結果にはっきりと表れています。今後とも、こども達の自信につながるよう、学力の定着に向け取り組んでまいります。
 このように、子ども達が未来に希望をもてるよう、若者をはじめ、高齢者など、あらゆる世代で、子ども達の成長を温かく見守っていければと考えております。

(貧困からの脱却にむけて)

 
 子ども達の目から輝きを奪ってはならない、そんな強い思いが、私を駆り立てます。こどもの貧困問題には、今を生きる私達の世代が責任を持って向き合い、貧困の連鎖に終止符を打たなければなりません。
 教師としての経験から、子ども達への支援は、学校現場だけでできるものではなく、教師から支援員に、支援員から支援団体につなぐ仕組みと広範な連携が不可欠となります。庁内では、関係部署の横断的な組織を設置し、庁外でも関係団体のネットワーク化を図るなど連携を深めているところです。
 また、昨年「こどものみらい応援プロジェクト基金」を設置いたしました。幅広い賛同を呼びかけながら中長期的な視点に立ち、腰を据えて取り組んでまいります。
 一方で、この問題は、経済問題と無関係ではありません。親の経済基盤の安定が、こどもを貧困から救う有効な手立てとなるからです。目的を持った経済政策にも並行して取り組んでいかなければなりません。
 さて、最近、こども食堂など、市内各所で子どもの居場所づくりの善意の輪が広がっています。また、経済界も強い危機感を持って行動を起しました。共感の広がりは大変心強く、今後とも、地域・NPO・ボランティア・企業などの皆様とともに、この問題に全力で取り組んでいく決意です。

(協働によるまちづくり)

 
 これまで地域活動の核として大きな役割を担ってきた自治会の加入率が低下傾向にあり、今では自治会がない地域も増えています。基礎となる自治会の活性化を図りながらも、これまでの枠を越え裾野を広げた新たなコミニュティの誕生が望まれています。
 すでに活動が開始された6校区のまちづくり協議会に続く取り組みを加速化させるため、昨年「小学校区コミュニティ推進基本方針」を策定しました。自治会・学校関係者・企業など、地域に集う多くの方々が、主体的に連携、協力する、そのような新しいコミュニティが、今後、市内全域に広がっている姿を目指しております。
 また、まちづくり協議会を機能させる上では、人材が必要であり、同時に、その人材が「活躍できる場」もなければなりません。これまで培ってきた経験や知恵を次世代に確実に引き継いでいくためにも、地域の方々の持つ貴重なスキルを活用することが重要になってきます。
 そこで、地域の人材情報を集める「那覇市人材データバンク」を構築し、人材と地域のニーズをマッチングさせる仕組みづくりを進め、同時に、地域の情報を集約した「校区まちづくり協議会カルテ」を作成していきます。
 ゆるぎない協働の礎を創り上げ、市民一人ひとりが自ら行動し、沖縄の誇る「ゆいまーる」のように、共に支え合う「協働によるまちづくり」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

(つながる心がつくる健康都市)

 
 毎回「ひやみかちなはウォーク」では、多くの人が参加して爽やかな汗を流しています。また、市役所内や平和通りでは、うちなーぐちの曲に合わせて、ラジオ体操を行ったり、企業でも職員が主体的に健康づくりを競うなど、市民それぞれの取り組みが見受けられます。
 これは、本市の「健康なは21」で目指す「家庭・職場・地域もあなたの健康応援団」の姿と重なります。
 そして、健康づくりにかかせないのが、「食」であり、生活習慣病の改善のためにも、大切なものとなります。沖縄県では「肥満」が問題となっており、その解消策のひとつとして、バランスの良い食事を心がけることが必要とされています。しかし、食生活は、ひとりではなかなか変えられないため、飲食店やスーパー・コンビニなどと連携し、「食」に対する意識を変える工夫、環境づくりを行っていかなければなりません。
 昨年設置した「健康づくり市民会議」を活用し、地域・学校・職場・保健医療機関などが幅広く連携して、市民総がかりで健康づくりに取り組んでまいります。
 このように健康も、お互いに連携して、支えあっていく、まちづくりと同じ視点が求められています。健康づくりの面でも、つながりを大切にしながら、本市の目標である健康な日常生活が送れる「健康寿命の延伸」を目指した、健康都市をつくってまいります。

(にぎわい、光かがやく都市なはを目指して)

 
 最近の国際通りでは、「ハロー」「ニイハオ」「アンニョンハセヨ」の言葉が飛び交い、多くの外国人観光客で賑わっています。また昨年の県内入域観光客数は861万人となり、四年連続で過去最高を更新しています。
 このことは、那覇がもつ生活感あふれるアジア的な街の雰囲気と、歴史あふれる朱を彩る琉球王朝の風景とが織り成す不思議なハーモニーが、多くの観光客に魅力を感じさせているからでしょう。
 最近の観光客は自分だけの新たな発見を求めています。時として、身近な何気ない風景が人をひきつけ、観光資源にもなります。なはの路地裏などを巡る「那覇まちまーい」が、人気を博しています。
 また、沖縄の人には「守礼の心」「いちゃりばちょうでー」のように、相手を思いやる心の温かさがあります。これらの良さを織り合わせて、国内外を問わず、多くの観光客に届けていきたいと考えます。
 さらに、入域観光客数を押し上げるために、リピーターを増やすことが必要です。その一例として、オリンピック種目となった空手や、伝統の琉舞などに触れる文化交流などが、体験型・滞在型観光の一翼を担い、観光の拡大につながるのではないでしょうか。
 それらが、人々をつなぐ拠点となり、本市の財産となるよう、美ら島の観光交流都市なはを目指していきます。

(商都・那覇のさらなる発展に向けて)

 
 古謡・おもろそうしに「唐、南蛮、寄り合う那覇泊」と詠われた那覇は、かつて、アジア諸国との交易により栄えた商都でした。沖縄県は、その地理的優位性を活かし、成長著しいアジアのダイナミズムを取り込むアジア経済戦略構想を掲げ、新たな一歩を踏み出しました。
 外資系のホテルの立地が相次ぎ、県外の銀行や商業施設が県内進出をうかがうのも、我が国の経済が成熟化するなか、さらなる経済成長が見込める沖縄県の高いポテンシャルが評価されたことに他なりません。
 リーディング産業の観光産業には破竹の勢いがあり、存在感を増す情報通信産業も堅調であります。失業率も改善し、有効求人倍率も初めて1倍を超えるなど、沖縄県の経済は好況感に満ちています。今こそ、時勢をしっかりとつかみ、古(いにしえ)から続く、商都・那覇のブランドに、さらなる輝きを加えていかなければなりません。
 県内政治経済の中心地であり、まち全体に躍動感がみなぎる本市には、様々な商機が重なり、ビジネスの素地が広がります。各種データに基づき、本市の「強み」が発揮される施策が必要となります。経済振興政策は、最重要課題のひとつとして、私の市政のいわば「2丁目1番地」に位置づけるという決意で、全力を傾けて取り組んでまいります。

(第5次那覇市総合計画の策定に向けて)

 
 なは市民協働大学院では、熱心な議論を重ねながら、次代を担う中高生、事業者などの幅広い声を丁寧に紡ぎ、市民案として、未来への想いをかたちにしました。こうした想いをしっかりと受け止め、まちづくりの羅針盤となる新たな総合計画の策定を進めてまいります。
 第5次総合計画は、これまでと同様に「市民との協働」という視点を大切にしながら、私の掲げる「ひと つなぐ まち」のイメージのように、まちづくりの各分野が、互いに結びつき、本市を温かく包み込むことのできる計画として、創り上げたいと思います。
 また、この計画の期間中に、本市は、市制施行100周年の大きな節目の年を迎えることとなります。
 将来的に人口減少など社会が大きく変貌するなか、第5次総合計画には、次の時代を見据えた、これまでにない役割が求められています。単に、10年の計画に留まらず、次の100年に向けた確実な一歩が踏み出せるよう、新たな礎をつくることを強く意識してまいります。

(効果的で持続可能な行財政運営を)

 
 先の国勢調査では、我が国は初めて総人口が減少に転じたことが明らかになりました。本市は、いまだ微増傾向にあるものの、人口ビジョンからは、早晩、同様な軌跡をたどることが予測されています。
 人口減少社会では、生産年齢人口が減少する一方で、老年人口は増加するなど、人口構成が大きく変化します。税収にも直結する労働者不足や社会保障費の押し上げなどを招き、その影響が強く懸念されます。
 また、今後の公共施設のあり方も大きな課題となります。一時期に整備が集中した公共施設の老朽化により、維持管理コストが増大し、建替えにはさらに莫大な費用が発生することとなります。従来の発想を脱し、施設規模や複合化を模索するなど、時代を見据えたファシリティマネジメントの視点が求められてきます。
 取り巻く環境の大きな変化をしっかりと捉え、これまで以上に行政経営に鋭敏にならなければなりません。時代の転換点に差し掛かった今だからこそ、将来を見通した経営戦略が求められてきます。厳しい財政状況下にあっても、市民ニーズに的確に対応し、次世代に責任を果たす持続可能な行財政運営に努めてまいります。
 
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