令和6年度施政方針

更新日:2024年2月7日

 はいさい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
 私が、第34代那覇市長として舵取り役を託されてから1年余り、市民の安全・安心な生活を第一に、様々な課題の一つひとつに全力で向き合い、スピード感を持ち職員一丸となって全庁体制で臨んでまいりました。
 近頃、まちを歩けばコロナ禍前の賑わいが戻りつつあると感じますが、長引く人手不足や物価高騰などの懸念があり、先行きを見通しにくい状況が続いております。
 さらに、世界を見渡せば、情勢不安な地域もあり、決して私たちも無関係ではありません。かけがえのない命や世界の平和を願う想いを広く発信し続けなければならないと強く感じております。
 このような中、進む方向を的確に見定め、那覇の魅力を最大限に発揮し、誰ひとり取り残さず、笑顔あふれる楽しい暮らしを未来へ繋ぐ、それが私に与えられた使命の一つであります。
 「未来を拓く、なは☆ひとづくり、まちづくり、ゆめづくり」。このキャッチフレーズをぶれることなく掲げ続け、歩みを止めることなく迅速(じんそく)果断(かだん)に前進してまいります。
 市民の皆様並びに、本市議会の皆様におかれましては、より良い市政の実現に向け、格段のご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
 それでは、令和6年度の市政運営の基本姿勢と予算案、主要事業をあわせてご説明申し上げます。
 ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。

市政運営の基本方針

時代に適応した第5次那覇市総合計画の推進

 本市の最上位計画である第5次那覇市総合計画が、残す所あと4年となりました。市政が拠って立つ本計画の推進を加速させていかなければなりません。
 昨年は、社会情勢の変化を的確に捉え柔軟に対応するため、市民の皆様や議会の皆様ご参画のもと総合計画の中間検証及び見直しを行いました。
 平成30年度策定時には予測することが困難だった社会情勢の変化を踏まえ、「withコロナ・afterコロナへの対応」、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進」、「SDGs(持続可能な開発目標)の達成」、「カーボンニュートラル(脱炭素化)の実現」、「ウェルビーイングの実現」を5つの見直しの柱として掲げております。
 中でも、私は、総合計画の推進を勢いづける鍵はDXにあると考え、行政手続オンライン化の拡充など市民サービス向上に直結する取組を確実に進め、新しい技術についても積極的に取り入れてまいります。
 そして、施策の全てでSDGs及びウェルビーイングを意識し、持続可能で市民がより幸福を感じられるまちづくりに向けて取り組んでまいります。

みんなで育むこどもたちの未来

 人は皆、成長過程の中で、たくさんの人々に支えられており、私自身も振り返るとそのように実感いたします。
 こどもたちを支えるのは社会の役割です。そのためには、妊娠・出産・子育てを一体的に支援することが、健やかな成長を支える有効な手立てだと考えております。
 この思いを形にした「こども家庭センターなは」がいよいよ今年8月に開所する予定でございます。
 本センターでは、母子保健と児童福祉の連携強化を図り、ヤングケアラーの問題も含め、深刻な児童虐待を発生させない仕組みづくりなどを進めてまいります。
 また、子育て環境の充実のために、学校給食費無償化について、早期実現に向け他市町村と連携し、沖縄県へ積極的に働きかけてまいります。
 こどもたちが見守られていることを感じられ、那覇に生まれ育ってよかったと思っていただけるよう、こどもの成長に応じて、温かくきめ細やかな支援を行うとともに、より良い子育て環境を引き続き充実させてまいります。
 こどもたちには輝く未来を夢見て、大きく羽ばたいて欲しいと心から願っております。

産業界が躍動する那覇の未来に向けて

 琉球王国時代から現在まで海の玄関口として栄えてきた那覇の歴史的背景を踏まえると、ウォーターフロントの未来は、本市がより一層発展する可能性を秘めているものと認識しております。
 今後予定されている泊漁港一帯の再整備では、多くの方々が訪れ、水産業や観光業に好循環が生まれ、その効果が多角的に広がっていくものと考えております。
 また、那覇軍港周辺においては、臨空・臨海都市としての産業集積の環境が整っております。本市の経済発展に寄与する拠点の創出に向け、引き続き利活用の調査・検討を行い、跡地利用を円滑に進める基礎資料の一つとなるよう取り組んでまいります。
 一方、地域経済を支える事業者を取り巻く環境の変化は著しく、本市には即応性の高い施策の展開が求められております。
 課題となっている人材不足への対応に向けて、事業者のDX化促進を支援するなどの各種取組を着実に行い、労働生産性の向上や働く人の多様化に繋げてまいります。
 さらに、地域経済への波及効果が期待される都市型MICEの誘致促進については、内部体制及び関係機関との連携を強化するとともに、今後戦略的に挑戦してまいります。
 このように、産業基盤の整備にしっかりと取り組み、新たな那覇の魅力を作り上げていくことで、未来に繋がる豊かな地域経済を創造してまいります。

平和に向けた変わらぬ想い

 今日、苛烈な紛争が「ウクライナ」や「パレスチナ自治区・ガザ」で続いております。多くの一般市民が犠牲となり、未来あるこどもたちが命を落としていくことに、私も胸が張り裂ける思いをしております。
 ここ沖縄でも、先の大戦で悲惨な経験をしており、このような同じ過ちを繰り返さないために、戦争体験者の言葉や思いを後世に伝え、平和の尊さを受け継いでいくことは重大な責務であります。
 昨年、「平和と安全の維持」を目的とする国際連合機関と本市が、平和に向けて共に取り組んでいくことが重要であると強く感じ、国際連合大学のチリツィ・マルワラ学長をお招きし、講演会を開催致しました。
 今後も国連機関の誘致などあらゆる可能性を探り、平和の尊さを本市から発信するとともに、争いのない世界を追求していく決意であります。
 その想いを強く抱きながら、平和行政の取組を前進させてまいります。

支援の手が重なり広がる社会を目指して

 近代日本経済の父と称され、中央慈善協会(現:全国社会福祉協議会)の初代会長でもある渋沢栄一氏は、『できるだけ多くの人に、できるだけ多くの幸福を与えるように行動するのが、我々の義務である。』という言葉を残しました。
 様々な社会福祉事業にも尽力した氏の言葉は、まさに行政の使命と捉えることができるのではないでしょうか。
 渋沢氏の時代から約100年が経ち、家族構成など社会の在り方は多様化し、地域のつながりも希薄化した現在においては、市民一人ひとりが暮らしと生きがい、地域を共に創っていく地域共生社会の実現が求められております。
 本市では、対象者の属性や世代を問わない相談支援や、地域との繋がりをつくる参加支援、地域づくりに向けた支援などを一体的に実施する体制整備に向け、庁内横断的に取り組んでまいります。
 また、教育格差や情報格差など人々に様々な隔たりを生む貧困への対策については、施策を拡充させることで、できるだけ多くのこどもたちに支援の手を差し伸べ、経済的な理由でこどもたちの選択肢が狭まることがないよう力を入れて取り組んでまいります。
 市役所は、様々な不安や悩みを抱える市民の皆様に寄り添う最後の砦です。
 誰一人取り残さず、安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。

災害への備えを高め、環境と共生するまち

 新年を祝う元日に発生した能登半島地震は、天災はいつどこで起こるかわからないことを、私たちに改めて突きつけました。
 本市においては、昨年8月の台風第6号の影響で、長時間の停電や断水等が発生し、17年ぶりに災害救助法が適用されるほど甚大な被害を受けました。
 私も被害状況を目の当たりにし、一刻も早い被災者支援及び災害復旧等に全力で取り組んでまいりました。
 如何なる時でも災害に対応するためには、国や県との連携に加え、市民・民間企業・各団体と防災のネットワークを広げ、日ごろからコミュニケーションを図る必要があります。
 災害への対応力を高めるインフラ整備も含め、平素からの備えを高め、災害に強いまちを造り、市民の皆様の生命・財産をしっかりと守ってまいります。
 また、自然災害の増加原因の一つと言われている地球温暖化への対策は、今般改訂した第3次那覇市環境基本計画において、重要課題の一つに位置づけております。
 昨夏の全国的な記録的猛暑は記憶に新しく、気象庁によれば、2023年の平均気温は、統計史上最高となったとの発表がありました。
 世界的な視点でも、カーボンニュートラルの実現は、ますます関心が高まってきております。
 本市においては、先月末ゼロカーボンシティ宣言を行い、今後もよりいっそう環境に配慮した事業を推進するとともに、一人ひとりの環境への意識啓発や民間企業等との連携を積極的に展開し、環境と共生するまちづくりを目指してまいります。

みんなの力で、よりよい暮らしを

 うちなーぐちで『片手(かたてぃー)さーねー (うとー)ー (ぅん)じらん』という黄金(くがに)言葉(くとぅば)があります。片手では拍手が出来ず音は出ないという例えで、物事を成し遂げるには、一人で行うよりも、周りと手を取り合い協力する方が上手くいくという教えです。
 この教えは「みんなの力で、よりよい暮らしをつくるために」という、本市が策定した「協働の手引き」の考えと通じるものがあります。
 昨年は、新たに金城小学校区まちづくり協議会が設立されるなど、協働によるまちづくりの裾野は確実に広がってきています。今後も、活動団体への支援を充実させ、地域自らが課題を解決できる環境づくりを進めてまいります。
 また、私は、全ての市民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる仕組みである地域包括ケアシステムの構築を目指しております。
 その土台となる、校区まちづくり協議会が、市内全地域へ設立されることを目標に、引き続き、支援を充実させてまいります。
 先人たちの教えのとおり、目まぐるしく変化する社会状況の中においては、手と手を携え、物事に取り組んでいくことは不変の真理です。
 よりよい暮らしの実現に向け、人と人とのつながりを大切に、行政と地域の多様な主体との協働を推し進めてまいります。

学びの場を見つめ、文化を受け継ぐ

 教育現場の最前線に立つ教員は、休職者数の増加や志願者数の減少など厳しい環境に置かれており、その負担軽減は全国的な課題となっております。
 学びの場で何が起こっているのか、現状を正確に把握し、スピード感を持って対応しなければ、質の高い教育が維持できず、こどもたちへの影響も懸念されます。
 本市では、「教員負担軽減タスクフォース」を中心に、校務のDX化推進など実効性のある取組を一つひとつ積み重ね、教員の負担軽減を目指してまいります。
 また、戦中・戦後の混乱により義務教育が受けられなかった方々や、不登校となった方々及び在住外国人など様々な市民・県民のニーズに対し、学び直しの場となる夜間中学のあり方について、今後も沖縄県と協議し、連携を深めてまいります。
 さて、那覇の文化を後世へ引き継ぎ、発展させていくことを目的として、昨年、「旗頭のまち」宣言を行いました。那覇発祥である旗頭は、地域の絆を深め、青少年の育成という役割も持つなど、本市の歴史文化には欠かせない存在であります。
 本市を代表する壺屋焼や首里織などの伝統的な文化芸術・芸能にも、受け継がれてきた思いや弛まぬ研鑽が息づいています。
 そして、本市には多種多様な団体が活動しており、その活動は人々の生活に彩りと豊かさを、まちに活気をもたらします。
 これらの活動の後押しや環境の整備など、担い手目線の取組を進め、連綿と続く流れを受け継ぐとともに、これからの那覇の新しい文化芸術・芸能を育むため尽力してまいります。

市民の健康と地域医療を守るために

 秋の爽やかな風を受け、「ひやみかちなはウォーク」にはお子様から高齢者まで多くの皆様が毎年、市内の名所旧跡や景色を楽しみながら参加されています。
 歩くことは健康への第一歩。その一方で、本人も気づかないうちに生活習慣病などを患う方もおります。
 健康の維持には、定期的な体のメンテナンスが必要ですが、特定健診は若い世代ほど受診率が低い傾向にあります。働き盛り世代をはじめ、市民の皆様が特定健診を受診し、病気の早期発見をすることが、生活習慣病などの重症化を未然に防止することに繋がります。
 生活習慣病は大人だけの問題ではありません。特にこどもの場合は、保護者の生活習慣が反映されやすいため、保護者自身が規則正しい生活リズムへ見直すよう、健康への正しい知識を身につけることが重要です。
 今年は、健康なは21(第2次)の終期となっており、次期計画の策定にあたっては、本市の実状にあわせた生活習慣病などの予防施策の充実を図ってまいります。
 また、地域医療の要となる新那覇市立病院については、高度医療の充実や感染症対策等の機能強化を図り、令和7年10月の開院に向け、鋭意取り組んでまいります。
 市民の皆様が、健康を保つために、適切な食習慣や適度な運動を心がけ、全ての人が健康で生き生きと暮らせるまちづくりを推進してまいります。

魅力ある都市整備に向けた新たな手法への挑戦

 戦後の復興からこれまでの発展の中で、本市の都市整備は主に行政主導で進められてきました。
 多様化する市民ニーズへの適応や財政的な観点から、民間が持つノウハウや資金を活用し、質の高い行政サービスの提供および事業コスト縮減を目指す官民が連携した都市整備を積極的に進めてまいります。
 今後数年間にわたるビッグプロジェクト「新真和志複合施設建設事業」は、設計・建設・維持管理を一括発注し、事業者の提案による民間収益事業も可能となっています。
 本市にとって前例のない事業方式に挑むこととなりますが、事業者と綿密に連携し、地域に賑わいと交流を生み出す新たなランドマークを築き上げてまいります。
 真和志支所に加え、教育福祉関連施設も多数入居する複合施設は、地域が持つ力を一層引き出し、あらゆる世代の人々を受け入れる優しさ溢れる施設になると確信しています。
 合わせて、パークPFIによる公園整備や、中長期的には密集市街地の改善など、地域の利便性を向上させるため、地域住民との対話を行い、時代の潮流を捉えながら、引き続き、まちの基盤整備を進めてまいります。

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