なは女性センター20周年シンポジウム~性の多様性を尊重するまちづくり【パネルディスカッション】

更新日:2019年3月18日

なは女性センター開設20周年記念シンポジウム

レインボーなは~性の多様性を尊重するまちづくり~

パネルディスカッション・テーマ「性の多様性を尊重するまちづくり」

【パネリスト】
遠藤まめたさん(「やっぱ愛ダホ!idaho-net.」呼びかけ人代表)
砂川秀樹さん(文化人類学者・レインボーアライアンス沖縄共同代表)
高倉直久さん(ホテルパームロイヤルNAHA代表取締役総支配人)
城間幹子那覇市長
【コーディネーター】
矢野恵美さん(琉球大学大学院法務研究科教授)

日時:2016年11月12日(土曜)
会場:沖縄県県立博物館・美術館講堂
 
基調講演はコチラ
サブリナ・シズエマッケナさん
(ハワイ州最高裁判所判事)

・新しいモデルとして全国に
文化人類学者、レインボーアライアンス沖縄共同代表の砂川秀樹さんは、20年間、講師として、なは女性センターと関わってきました。はじめて講座を開催したときのアンケートの中で、センターは女性の社会的な地位に関することをやるところなので、プライベートなセクシュアリティに関することは必要無い、と書かれたことが今でも印象に残っていると当時を振り返りました。ですが、それから継続的に講座やイベントなどを開催していくなかで、大きなイベントを開催できると確信を持つようになり、LGBTがより生きやすい社会をと願う人が集まるイベント「ピンクドット沖縄」を開催しました。第1回目の開催では、約800人が集まり、さらに新聞記者のみなさんが、その活動を常に追ってくれたことで、イベントに行きづらい人たちへも新聞で伝えてくれたことで、より多くの人達が勇気を持ってくれたと話しました。そして、砂川さんは、なは女性センターと民間団体と組んだ活動が1つのモデルになったとし、今後は様々な団体が参加する新たなモデルが全国に広がっていく希望を抱いていると語りました。

・肯定的な環境が自分自身を受け入れる
「やっぱ愛ダホ!idaho-net.」呼びかけ人代表であり、子どもや若者のLGBT支援に関わる遠藤まめたさんは、教育現場のことについて話しました。家族にカミングアウトすることもできず、学校でも居場所がない若者のLGBTに触れ、自分自身が何者なのか分からず、情報の無い中で暮らしている人が多い状況を話しました。日本でもアメリカ同様、LGBTの若者の自殺割合は高く、若者の自殺を減らすために教職員は、そのことを理解しなければならないと。そういう中、遠藤さんは16歳になって自分がトランスジェンダーであることを知りました。それまでは、自分が何なのか分からない。自分を何て呼んだらいいのか、男なのか女なのか分からない。学校はセーラー服で行かなければいけないが、スゴい辛いんだけれども、この「辛さ」は一体何なのか分からない、といった状況でした。だれもがLBGTに関する知識を持つ必要があり、日ごろからLGBTに対して肯定的な雰囲気やそういった人たちの話題が当たり前に出てくるような環境があれば、子ども達は自分がそうかもしれないと思ったときに、自分は人と違うけど何とかやっていけると思えると伝えました。また、人から理解されないということも辛いがもっと厳しいのは、それを自分で受け止められないということ。それがいちばん辛いと事だと。肯定的な環境によって、自分が自身の応援団となり、自身の味方になる。肯定的な環境をつくることこそが大切であることを強く訴えました。

・レインボーアイランド沖縄
砂川さんが、日本でも最強のアライ(LGBTを理解し運動支援をする人)と話す、ホテルパームロイヤルNAHA代表取締役総支配人の高倉直久さんは、セクシュアル・マイノリティとビジネスシーンとの関連について話しました。ピンクドット沖縄の大使をしている高倉さんは、観光業界にLGBTのことを理解してもらうために講演活動やスポンサーへの協力依頼を行っています。LGBTの世界の市場推計規模が100兆円規模で、日本では5兆9千200億円と話します。民間のビジネスとして、LGBTのみなさんが気持ちよくサービスを受けるためにはどうしたら良いのか、という消費を民間でも担っていければといった話しをしています。また、アライ企業を増やすため、沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合の各理事長、会長のみなさんがLGBTへの支援を全面的に行っていくことになったと話しました。観光業からLGBTの支援活動を増やし、レインボーアイランド沖縄という地域にしていきたいと話しました。

・日々の会話での異性愛者を前提とした語り
私たち市民一人ひとりができることについて砂川さんは、日々の生活の会話の中でLGBTのネガティブな語りやお笑いだとか結構たくさんある。そういった事を減らしていくだけでもずいぶん違うと言います。いわゆるホモネタやゲイを笑いにするようなネタがよく話題に出る。相手が異性愛者を前提とした語りが強く、それが生きづらさを与えていると。特に日本では「笑い」というカタチでマイノリティへの抑圧が出されがちだ。それに対して例えば「ぜんぜん笑えな~い!」とか言うことで、変わることができると話しました。

・「性のありよう」は私たち一人ひとりのもので尊重すべきもの
最後に、コーディネートの矢野恵美さんは、次のように最後を締めくくりました。「性のありよう」は私たち一人ひとりにあり、誰にもあることで、セクシュアル・マイノリティの人を特別扱いしていこうということではありません。「性」は一人ひとりのもので、尊重されるものです。しかし、今の教育の中では、それを分けて、しかも異性愛で性自認にも疑問が無い、そういう人しか存在しないという教育をしています。先ずは、そうでは無く、いろんな人がいることを、ぜひ教育現場で教えてもらいたいと思います。そして教える人たちにも、カミングアウトされる人たちにも知識があれば、後で傷つけてしまったと後悔することもないと思います。私たち一人ひとりが知るべきことだと思っています。そして、子どもたちはいずれ社会に出ていきます。その人たちが企業で働いたり顧客になったり。大学だと就職活動の時、性別の移行をどうするか考え、就職を断念したり、就職活動をあきらめたりする人もたくさんいます。一生を通して「性のありよう」を誰もが持っているのですから、私たち一人ひとりが、いろんな人がいるんだと尊重していければと思います。今日これだけ多くの方が熱心に参加してくださいました。女性と男性ということもありますが、もちろん女性への差別もまだまだあると感じています。そういったことも含め、この社会の中での「性のありよう」について、みなさんと一緒に今日からまた一段と考えていけたらと思います。

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