真嘉比の綱引

更新日:2019年3月18日

市政レポート

真嘉比の綱引

[日時]平成28年7月31日(日曜)
[場所]真嘉比自治会前
 
7月下旬、県内の各地では「綱引」が行われています。
綱引は豊年を祈る神事として、沖縄では六月カシチー(旧暦6/25の新米の収穫祝い)の日、またはその翌日に欠かさず行ってきた行事でした。
 
那覇には昔から稲作が無く、古くは那覇四町(西、東、泉崎、若狭)の大綱のイベントがありますが、その「那覇」とは、いわゆる合併前の旧那覇のことで、旧真和志村や旧小禄村の旧農村地域では、現在も自治会などで綱引を行っているところがあります。
 
なかでも、那覇市真嘉比では、100年以上も受け継がれ、住民総出で「綱打ち(綱作り)」を行い、その日に綱引を行っています。
 
真嘉比は、旧真和志村にあり、のどかな農村地帯でした。主にキビやイモが栽培され、現在の真嘉比遊水地がある真嘉比川沿いには、昭和初期まで細々と稲作が行われていました。その後、田芋が主体となり、旧正月には、「真嘉比川原田芋(マカンジャーラターンム)」として、那覇の大市(東町)や泊市を賑わしたそうです。
 
真嘉比での綱引の起源は、はっきりしませんが、戦前から1930年代までの綱引は、当時も住民総出で行う行事とされていました。真嘉比川原だけの稲わらでは足りないため、近隣の稲作を行う内間や中西で購入していたそうです。また、「祈願綱」であるため期日の変更はできないことから、台風時でも、ごく細い綱を作って青年団だけで蓑(みの)をかぶり、ひっそりと引いていたこともあったそうです。戦争により4、5年は中断しましたが、わらを入手することが困難なため、そこらへんに生えている草で編んだり、ロープで引をしたりして続けてきました。
 
現在では、六月カシチー後の日曜日に朝8時から地域の事業所や住民総出で綱を作り、その夜に綱引が行われます。綱引のわらには、真嘉比小学校の子どもたちが作った稲わらと金武町から取り寄せたものが使われています。
 
また、綱引が終わった後の綱は、翌週に行われる松川など、真和志地域で活用されています。その松川の綱引は、なんと300年以上の伝統があるそうです。
 
地域に残る伝統文化をとおして、その歴史をたどり、当時の人々の生活に思いを馳せることができます。みなさんも、地元の伝統行事から地域の歴史を訪ねてみてはいかがでしょうか。
 
参考文献『真嘉比字誌』真嘉比自治会
 

 
[掲載日:平成28年8月12日]

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