市政レポート-「リノベーションまちづくり(講演会編)」

更新日:2019年3月18日

市政レポート

リノベーションまちづくり(講演会編)

日本は、これから本格的な人口減少時代を迎えます。
那覇市の人口・世帯数は、緩やかに増加していますが、今後は高齢化が進むとともに人口は減少し、高齢世帯・障がい者世帯が増加すると予測されています。
 
すでに中心市街地では居住人口が減少傾向にあり、65歳以上の割合は、市全体では19.6%ですが、中心市街地では25.1%と年々高くなっています。また、単身世帯も増加傾向にあり、中心市街地は、高齢者や障がい者、そして子育て世帯が共に暮らしていける環境づくりが求められています。
 
さらに、民間賃貸住宅では、1ルーム等単身世帯向けの物件の供給が過剰である一方、中心市街地周辺部は建築後20年以上の空き家物件が増加傾向となっています。
 
市では、まちなか居住の推進を図るため、誰もが暮らしたくなる“まち”をめざし、まちなかの空き家の活用をサポートする「那覇市住宅ストックモデル事業」を行っています。
 
中心市街地である「まちなか区域」の空き家・空き室を居住者のニーズにあった住宅に、改造・リノベーションすることで、満足度の高い暮らしを実現し、居住者の増加や交流を促進することで、まちなか区域の価値を高めることを目的にモデル事業を行っています。

その一環として、9月4日(日曜)、牧志駅前ほしぞら公民館ホールで、「リノベーションによるまちなか居住推進ワークショップ&講演会」を開催しました。
 
講師には、建物ストックの再生「リノベーション」をテーマに建築設計や不動産コンサルティングを展開し、地域再生のコンサティングや講演会など全国各地で活動する、株式会社ブルースタジオ専務取締役 大島良彦氏をお招きして、基調講演を行いました。
 
大島氏は、リノベーションの考え方について、時代や社会のニーズにあったイノベーションを起こすことが、リノベーションと定義します。建物がある地域を俯瞰(ふかん)した目線で語ることが求められると。
 
日本全体の人口が減少していくなか、「つくる時代」から、入居者が「使いこなす時代」へと変化していることを認識しなければならないと述べます。
 
地域における空き家は、使いこなすことができる「資源」ととらえ、すべての不動産は社会の共有物であると。所有者だけのものと考えてしまうと社会のニーズに適合できず、必要とされないものになってしまうと言います。それは、「パブリックマインドが失われた建物」だと大島氏は空き家のことを表現しました。
 
行政だけではなく、公私ともに失われたパブリックマインドを取り戻すために、地域社会とコミュニケーションがとれる魅力的な建物にすることが大切だと強調します。そのためには、建物が歩んだこれまでの歴史、つまりオンリーワンの「物語」を語れることが、建物の資産価値になると言います。それが、リノベーションへの一歩となるようです。
 
そして、リノベーションを実現するため、所有者や入居者(生活者)、地域に「共感」を生み、連鎖させることが大切であると。そこには、「あなたでなければ(人)」「ここでなければ(場所)」「いまでなければ(時間)」その3つの組み合わせを明確にできれば、その建物にしかない物語を作ることができ、そこには必ず「共感」が生まれると述べました。
 
大島氏は、暮らしの価値は、コミュニケーションの価値と話します。
あたりまえの日常生活に誇りをもつこと、それを継承・コミュニケートすることで真の豊かさにつながることを教えてくれました。
 
市では、多様な暮らしが展開される質の高いライフスタイルが実現できるまちを目標に、まちなか居住を推進していきます。

 
午前の第1部に行われたのワークショップの様子はこちらから リノベーションまちづくり(ワークショップ編)
 
[掲載日:平成28年9月9日]

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