ノロウイルス

更新日:2023年7月7日

ノロウイルス感染症

 ノロウイルスは、急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種で、ヒトの口から入ることで感染します。食べ物で感染することもあれば、感染したヒトの排泄物などから感染することもあります。

時期

 日本では、一年を通して発生はみられますが11月くらいから発生件数は増加しはじめ、12月~翌年1月が発生のピークになる傾向があります。

特徴

わずかな量のウイルスで感染

 100個程度の少量でも感染すると言われている感染力の強いウイルスです。

ヒトの腸管で増殖して、便や嘔吐物に大量に排出

 感染者の糞便1グラム中に1億個以上、嘔吐物1グラム中に百万個以上含まれています。

症状が治まった後も、1週間~1ヶ月程度は糞便などからウイルスを排出

 症状が治まった後でも、しばらくは2次感染の恐れがあります。 

環境中でも感染性を失わない

 患者の便や嘔吐物が付着した敷物や衣服などで比較的長く生きることが確認されています。

アルコール消毒に比較的強い

 通常用いるようなアルコールや逆性石けんでは、消毒効果が弱いです。

症状

感染から発病までの潜伏期間

24-48時間

主な症状

嘔吐・下痢・腹痛・発熱(軽度)など
 
大きな症状が出ない場合もあります。これらの症状は健常な人なら1~2日ほどで収まりますが、免疫力の低い乳幼児や高齢者では重症化する場合があります。

感染経路

ノロウイルス感染経路

2枚貝からの感染(食中毒)

2枚貝にはノロウイルスを体内に蓄積する性質があり、下水処理で除去しきれずに排出されたウイルスを持っていることがあり、このような2枚貝を生食や不十分な加熱で食べた場合

感染者がウイルスを食品に付着させ、その食品を食べて感染(食中毒)

食品を取り扱う人の手や調理器具より食品に付着し、できた料理を食べた人が感染する場合

人から人への感染(感染症)

ウイルスを含む便や嘔吐物の飛沫や、便などを処理する際に手指についたウイルスが口に入ることによる場合
 
ノロウイルスは、衣服や寝具・家具などの表面で数週間生存することができるとされています。感染を断つには、手洗いの徹底・器具の洗浄が重要になります。

感染予防

 現在のところ、ノロウイルスに対するワクチンはありませんので、日常生活での予防が必要です

食中毒予防

  • 2枚貝は火を十分に通して食べる
    中心温度85~90度で90秒以上
  • 手をよく洗う
    調理前・食事の前・トイレのあとなどは必ず洗う、タオルは一人ずつ別のものを使う
  • 調理器具を衛生的に保つ
    調理器具は使用のつどよく洗う、熱湯や塩素系漂白剤で消毒する

感染症予防

  • 便や嘔吐物を片付けるときは注意する
    使い捨て手袋やマスクを着用して、直接肌に触れないように注意する。作業後は手をよく洗う
  • 床や衣類に付着した場合は、塩素系漂白剤で消毒する使用する
    マスク・手袋は汚染物が飛散しないようにビニール袋などに密閉して処分してください。
  • 手をよく洗う
    調理前・食事の前・トイレの後・オムツなどの交換後・嘔吐物処理後などは必ず手洗いやうがいを行う。
    ノロウイルスに効果的な手指消毒薬はないので、石けんを使い、流水でしっかりすすぎ、ウイルスを物理的に洗い流します。
    洗った手を汚染しない為にも蛇口も一緒に洗い、タオルは一人ずつ別のものを使う
  • 環境消毒
    トイレ・ドアノブ・蛇口・手すりなどは汚染されやすい箇所なので汚れを落とした後に塩素系漂白剤で消毒する必要があります。(ノロウイルスはアルコール系消毒液などが効きにくいため)

消毒方法

ノロウイルスに有効な消毒は加熱消毒と塩素系消毒剤です。
加熱消毒:85~90℃で90秒以上加熱
塩素系消毒剤:次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度0.02~0.1%)
 

【参考:簡易的な塩素系消毒剤の薄め方】
(市販の漂白剤:塩素濃度5%の場合)

濃度(希釈倍率)

用途

希釈方法

0.02%(200ppm)

環境消毒
(ドアノブや手すりなど)

2.5リットルのペットボトル1本の水に
原液10ミリリットル(ペットボトルのキャップ2杯)

0.1%(1000ppm)

糞便や嘔吐物処理
(床など)

500ミリリットルペットボトル1本の水に
原液10ミリリットル(ペットボトルのキャップ2杯)

 
(注)次亜塩素酸ナトリウムは手洗いには使用できません。また金属を腐食させたりカーペットが変色したりする場合があります。金属部分に使用した場合は10分程度したら、水ぶきしてください。また、塩素ガスが発生することがあるので、絶対に酸性の洗剤と混ぜないようにし、使用時には十分に換気をしてください

集団発生が疑われる場合

最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。
 また、保育園、学校や高齢者の施設等で発生したときは早く診断を確定し、適切な対症療法を行うとともに、感染経路を調べ、感染の拡大を防ぐことが重要ですので、速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。
 社会福祉施設等においては、「社会福祉施設等における感染症発生時に係る報告について」(平成17年2月22日付厚生労働省健康局長、医薬食品局長、雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)により、必要な場合は市町村及び保健所への報告等を行うようにして下さい。
 なお、介護保険施設等に関しては、厚生労働大臣が定める手順(平成18年厚労告268「厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる際の対処等に関する手順」)に沿って、必要な場合は市町村及び保健所への報告等を行うようにしてください。

Q&A

Q1.ノロウイルスに感染するとどんな症状になるのですか?

A1:潜伏期間(感染から発症までの時間)は24~48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常、これら症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。

Q2:ノロウイルスの予防はどうしたらいいですか?消毒方法を教えてください

A2:予防としては、手洗いの徹底が一番です。次亜塩素酸ナトリウムでの消毒については、リーフレットを参照されて消毒液を作ってください。アルコール消毒はノロウイルスに対しては効果がありません。

Q3:下痢・嘔吐などの症状がある時はどうしたらいいでしょうか?

A3:水分と栄養の補給を充分に行いましょう。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。

Q4:ノロウイルスかどうか調べたいのですが、どこの病院で検査できますか

A4:「ノロウイルス抗原検査」は、ふん便中のノロウイルスを検査キットで検出するもので、3歳未満、65歳以上の方等を対象に健康保険が適用されています。医療機関で、医師が医学的に必要と認めた場合に行われ、診断の補助に用いられます。なお、この検査は、結果が早く出るメリットがありますが、ノロウイルスに感染していても陽性とならない場合もあり、ノロウイルスに感染していないことを確かめることはできません。ノロウイルスと診断されても、特別な治療法があるわけではありませんので、検査の必要性については、担当する医師の判断になります。

Q5:治療薬はありますか

A5:ノロウイルスに効く抗ウイルス剤はありません。下痢や嘔吐などの脱水症状に対する対症療法が中心となります。食事や水分も受け付けず脱水状態がひどい場合に点滴等が行われます。下痢止めは回復を遅らせる可能性があるので、使わないほうが良いとされています。

Q6:診断書(または治癒証明書)は必要ですか?どこで貰えますか?

A6:(会社員)診断書が必要かどうか会社にご確認の上、かかりつけ医と相談してください。(学校、幼稚園、保育園等)ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎は、学校において予防すべき感染症として学校保健安全法に定められた感染症のうち、第3種感染症「その他の感染症」に入りますが、出席停止の扱いにするかどうかは、各地域、学校における流行状況などを考慮し、学校長が判断することとされています。出席停止に基づく診断書、または治癒証明書が必要かどうかについては学校へ問い合わせてください

参考

・ノロウイルスに関するQ&A(厚生労働省ホームページ)は厚生労働省(外部サイト)
・国立感染症研究所 ノロウイルス感染症とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/452-norovirus-intro.html(外部サイト)

お問い合わせ

健康部 保健総務課 感染症G

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