風しん

更新日:2023年7月7日

風しんとは

発疹、リンパ節の腫れ、発熱が主に現れる、ウイルス性の病気です。日本では、三日はしかと言われることもあります。感染・発病するのは主に5歳~15歳と言われていましたが、大人になってから感染・発病することもあり、2012年以降は関西や首都圏を中心に大きな流行が見られます。
一度自然にかかれば免疫は一生続くといわれており、伝染力は水痘(水ぼうそう)や麻しん(はしか)より弱いのですが、妊娠初期の妊婦さんが感染した場合は、胎児が先天性風疹症候群を発症することがあるため、注意が必要です。効果的な治療方法はありませんので、ワクチンによる予防が大切です。

那覇市保健所では、那覇市在住の妊娠を希望する女性やその同居者のために、風疹抗体価検査の医療機関委託を行っています。

感染経路

風しんウイルス感染者からの飛沫(くしゃみなどのしぶき)や直接接触により感染します。ウイルスの排泄期間(他人にうつす期間)は、発疹が出る1週間前から発疹が消えたあと1週間ほどで、発熱が治まると感染力は急速に弱まります。

症状

感染から2~3週間が潜伏期間で、顔や耳の後ろに赤い点状の発疹が出現し、すみやかに全身に広がります。痕が残ることは少なく、ほとんどが3~5日程度で消失します。発疹がでる1日~5日前に微熱、頭痛、倦怠感、鼻水、せき、痛みのない口蓋斑点などの初期症状が見られる場合もあります。
風しんはリンパ節が腫れるのが知られており、特に耳の後ろ、首(頚部)に目立つ場合が多く、発疹が消えても数週間続くこともあります。
また、子どもが感染しても、咽頭炎だけだったり、症状が出なかったり(不顕性感染)することも多くみられます。

診断方法

発疹は出ますが、風しんは症状や見た目での判断することが難しい病気です。一般的には血清による抗体検査で診断されます。

治療方法

風しんウイルスに効く薬は現在のところありません。特に有効な治療法がないため、対症療法を行うことになります。

合併症

基本的には軽快する病気ですが、妊娠初期の妊婦さんが感染すると、胎児が先天性風疹症候群を発症することがあります。発疹が消えたあとに一過性の手指のこわばりや痛み、関節炎を感じる方おり、成人女性で多いようです。また、極めてまれですが、血小板減少性紫斑病を合併したり、急性脳炎を起こすなど、重篤な症状に至る場合があります。

先天性風疹症候群とは

妊娠初期の妊婦さんが風しんに感染すると、風しんウイルスが胎児に影響して、先天性心疾患、難聴、白内障、網膜症などの先天異常を生じることがあります。そのほかに新生児期に現れる症状として、低出生体重、貧血、肺炎、脳炎などがあります。
感染したときは、先天性風疹症候群について医師から十分な説明を受けたうえで、妊娠を継続するかどうか判断することが必要です。一般的には妊娠21週以降の感染であれば先天性風疹症候群の危険性は低く、妊娠継続とされることが多いようです。

ワクチン接種による予防

2006年から、第1期(1歳以上2歳未満)と第2期(小学校入学前)の計2回、麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)を接種することになりました。ワクチンを2回接種することで免疫を強め、成人になっても効果が続くと言われています。
しかしそれ以前に生まれた方は風しんの予防接種をしていない人も多いようです。特に、1979年4月~1987年に生まれた人は、中学時代が法律の変わり目にあたっているため、予防接種を受ける機会がなかった人もいます。
特に、1994年以前は中学生の女子のみが風しんワクチン接種の対象者とされていたため、男子は受ける機会がありませんでした。ご自分が風しんワクチンを受けたかどうかは、母子手帳(親子手帳)などで確認することができるほか、病院などで抗体検査を受けることでも確認できます。
妊娠可能年齢の女性で風しん抗体がない方にはワクチン接種が推奨されていますが、妊娠中のワクチン接種は避ける必要があります。また、ワクチン接種後は2ヶ月間避妊することが勧められています。
また、社会全体でワクチン接種率を上げることで、風しんの流行そのものを抑制し、妊婦さんがウイルスに触れない環境を作ることも重要ですので、男性のワクチン接種も大切です。

ワクチンの定期接種状況
生年月日接種状況1回目2回目
昭和37年4月2日以降
昭和54年4月1日生まれ
中学生の時女性のみ風しんワクチン
学校での集団接種
なし
昭和54年4月1日以降
昭和62年10月1日生まれ
中学生の時男女共に風しんワクチン医療機関での個別接種の為接種率が低い。
平成13年11月7日~平成15年9月30日までいつでも受けられた。一部1~6歳までのどこかで1回目のMMRワクチンの人もいる
なし
昭和62年10月2日以降
平成2年4月1日生まれ
1歳~7歳半まで1回目の風しんワクチン、あるいは
1歳~6歳までに1回目のMMRワクチン
なし
平成2年4月2日以降
平成7年4月1日生まれ
1歳~7歳半まで1回目の風しんワクチン、あるいは
1歳~6歳までに1回目のMMRワクチン
高校3年生相当年齢(18歳になる年度)でMRワクチン
平成7年4月2日以降
平成12年4月1日生まれ
1歳~7歳半まで1回目の風しんワクチン中学1年生相当年齢(13歳になる年度)でMRワクチン
平成12年4月2日以降
平成17年4月1日生まれ
1歳~5歳まで1回目の風しんワクチン小学校入学前1年間(6歳になる年度)でMRワクチン
平成17年4月2日生まれ1歳時にMRワクチン、小学校入学前1年間(6歳になる年度)でMRワクチン

出典:多屋馨子 特集:風疹の今を考える わが国の風疹の現状と課題。
小児科「金原出版」53巻8月号(2012年)
※1MMRワクチン・・・麻しん・風しん・おたふくかぜを予防するワクチン
※2MRワクチン・・・麻しん・風しんを予防するワクチン

昭和54年4月2日~平成7年4月1日生まれの男女
風しんワクチンの接種率が低い世代の為、
風疹の予防接種を受けていない人が多いです

昭和54年4月1日以前生まれの男性
制度的に風しんワクチン接種を受けていない可能性が高いです

医療機関の方へ

感染症法に基づく医師の届出のお願い
平成30年1月1日から風しんの届出が変わりました(リーフレット参照)。

風しんを疑った、もしくは診断された場合は、直ちに所管の保健所へ電話及び風しん発生届によりFAXにて届け出てください。その際は、患者又はその保護者の連絡先を保健所に情報提供すること、診断用検体(できれば咽頭ぬぐい液・採血・尿の3種類)の採取について、本人の了解を得てください。その後、5類感染症検査票への記入をお願いいたします。いずれの様式も保健所からFAXしたものを使用していただくか、ダウンロードしていただくこともできます。

保健所では、職員が患者から情報を聴取し、診断用検体を回収して、沖縄県環境衛生研究所にて迅速にPCR検査を行い、結果は速やかに医療機関へお知らせします。

参考

お問い合わせ

健康部 保健総務課 感染症G

〒902-0076 沖縄県那覇市与儀1-3-21

電話:098-853-7972

ファクス:098-853-7966