更新日:2025年9月3日
お知らせ(令和7年9月3日付)
地方独立行政法人那覇市立病院評価委員会答申を踏まえ、地方独立行政法人法第34条第1項の規定に基づき、令和7年9月3日付で地方独立行政法人那覇市立病院令和6年度財務諸表を承認しました。承認後の財務諸表は、今後、那覇市立病院ホームページ(外部サイト)にて公開されます。
・地方独立行政法人那覇市立病院の令和6年度財務諸表の承認について(PDF:213KB)(通知)(令和7年9月3日付)
1.地方独立行政法人制度について
平成16年4月に地方独立行政法人法が施行され、地方公共団体においても、独立行政法人の設立ができるようになりました。
地方独立行政法人とは、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものと地方公共団体が認めるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律の定めるところにより地方公共団体が設立する法人をいいます(地方独立行政法人法第2条)。
地方独立行政法人法の詳細については、e-GOV法令検索(外部サイト)をご確認ください。
2.那覇市が設立した地方独立行政法人
昭和55年5月1日に開院し、病院事業を展開する那覇市立病院は、小児を含む救急医療や小児・周産期医療、高度医療等の市民が必要とする医療を提供するとともに、地域周産期母子医療センターや地域がん診療連携拠点病院、地域医療支援病院、臨床研修指定病院の指定を受けるなど、那覇市を含む南部医療圏において、公的使命を果たしてきました。
那覇市は、那覇市立病院に引き続き公的使命を果たしてもらうとともに、行政組織から分離独立させたほうが、組織としての独自性や事業効果・運営の効率性を発揮できる部門であるとして、平成20年4月1日に地方独立行政法人那覇市立病院を設立しました。
那覇市立病院は非公務員型の公営企業型地方独立行政法人へ移行したことから、那覇市立病院で働く職員の身分は那覇市職員ではなくなりましたが、引き続き那覇市域の医療政策を担う、重要なパートナーであることに変わりはありません。
3.中期目標、中期計画について
地方独立行政法人制度では、那覇市長は、4年間の期間において那覇市立病院が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を指示します(地方独立行政法人法第25条)。
中期目標で指示された事項の達成に向け、那覇市立病院では、当該中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)を作成するとともに、年度ごとに業務運営に関する計画(以下「年度計画」という。)を作成します(地方独立行政法人法第26条、同27条)。
那覇市が那覇市立病院に指示する中期目標は、大きく分けて、次の4つの事項から構成されています。
1.市民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
2.業務運営の改善及び効率化に関する事項
3.財務内容の改善に関する事項
4.その他業務運営に関する重要事項
中期目標
- 第5期中期目標(PDF:321KB)【令和6年4月~令和10年3月】
- 第4期中期目標(PDF:263KB)【令和2年4月~令和6年3月】
- 第3期中期目標(PDF:105KB)【平成28年4月~令和2年3月】
- 第2期中期目標(PDF:125KB)【平成24年4月~平成28年3月】
- 第1期中期目標(PDF:136KB)【平成20年4月~平成24年3月】
中期計画及び年度計画
中期計画及び年度計画については、那覇市立病院ホームページ(外部サイト)をご覧ください。
業務実績に対する評価の実施について
那覇市立病院は、毎事業年度の終了後、当該年度の業務実績について、那覇市長の評価(業務実績評価)を受けなければなりません。また、那覇市長は中期目標4年間の業務実績についての見込み評価を行う年度については、地方独立行政法人那覇市立病院評価委員会に意見を聴かなければなりません(地方独立行政法人法第28条)。
那覇市では、中期目標4年間の業務実績についての見込み評価を行う年度に限らず、毎年度、那覇市長による評価に先だって、財務諸表の承認(地方独立行政法人法第34条)に対する意見聴取と合わせて、評価委員会へ諮問し、その意見を得た上で評価を実施しています(地方独立行政法人那覇市立病院評価委員会条例第2条)。
評価委員会条例については、例規集(外部サイト)をご覧ください。
令和7年度に実施する評価について
令和7年度は、令和6事業年度に係る業務実績等についての評価を行う予定です。
4.地方独立行政法人那覇市立病院評価委員会について
地方独立行政法人那覇市立病院評価委員会は、那覇市長の附属機関として、業務実績等評価に際し、意見を述べるほか、那覇市立病院の定款変更時、中期目標の策定(変更)時のほか、財産処分時等、様々な場面で意見を述べる等、地方独立行政法人制度の目標・評価制度の根幹となる役割を果たすものです。
令和7年度は、令和7年10月に那覇市立病院新病院棟の開院を予定しており、移転に向けて、評価委員会に対する説明等を行う那覇市立病院職員が繁忙であることに配慮し、第1,2回(財務諸表の承認に係る意見聴取)と、10月後半以降の第3~8回(業務実績等評価に係る意見聴取)の分散開催となっています。
回数 | 開催日 | 内容 |
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第1回 | 7月29日 | 諮問 |
第2回 | 8月6日 | 議題 |
第3回 | 日程調整中 | 議題 |
第4回 | 日程調整中 | 議題 |
第5回 | 日程調整中 | 議題 |
第6回 | 日程調整中 | 議題 |
第7回 | 日程調整中 | 議題 |
第8回 | 日程調整中 | 議題 |
役職 | 氏名 | 職業/所属先・所属先における役職 |
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委員長 | 医師 | |
副委員長 | 公認会計士・税理士 | |
委員 | 保健師・看護師 | |
委員 | 税理士 | |
委員 | 医師 |
評価委員会の答申(令和7年度)
5.那覇市立病院に対する財政支援
病院事業運営費負担金
那覇市立病院は病院事業を営む地方独立行政法人であるため、地方独立行政法人法上、「公営企業型地方独立行政法人」に分類されます(地方独立行政法人法第21条第3項、第81条)。
公営企業型地方独立行政法人には、その事業に必要な経費は事業に伴う収入をもって充てなければならない「独立採算の原則」が適用されますが(地方独立行政法人法第85条第2項)、その例外として、設立団体が負担することが可能な経費(地方独立行政法人法第42条第1項)や設立団体が負担しなければならない経費(地方独立行政法人法第85条第1項)について、那覇市立病院が地方独立行政法人としての公的使命を果たせるよう、那覇市は「病院事業運営費負担金(以下「負担金」という。)」を那覇市立病院へ交付しています。
設立団体は、地方独立行政法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。 |
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1.その性質上当該公営企業型地方独立行政法人の事業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費 |
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どのような経費を対象とし、また、その基準については、「地方独立行政法人会計基準の改訂に係る公営企業型地方独立行政法人の取扱いについて(PDF:177KB)」(令和4年9月28日付総財公第120号総務省自治財政局公営企業課長通知)に基づき、毎年度総務省が発出する「地方公営企業繰出金について(PDF:272KB)」(総務副大臣通知)第4病院事業を準用することになっています。
那覇市では、那覇市立病院が提供する医療機能等に応じ、次の経費を対象に負担金を算定しています。なお、負担金は毎年度、過不足額について精算を行っています。
・病院の建設改良に要する経費
・リハビリテーション医療に要する経費
・周産期医療(NICU)に要する経費
・小児医療に要する経費
・救急医療の確保に要する経費
・高度医療に要する経費
・院内保育所の運営に要する経費
・医師確保対策に要する経費(医師の勤務環境の改善に要する経費)
※上記には、負担金算定の対象にはなりますが、当該経費に係る収益を確保できている場合等、負担金を繰り出していない項目も含まれています。
負担金の繰出状況
負担金が那覇市立病院の総収益(営業収益、営業外収益、その他臨時利益を合計したもの)に占める割合は地方独立行政法人に移行した平成20年度は9.03%と約1割を占めていましたが、2~3%台に低下しています。
これは、病院事業を営む全国の他の地方独立行政法人と比較しても、大変少なく、独法化移行後、営業収益を50億円以上増加させる等、那覇市立病院のたゆまぬ経営努力によるものです。
しかしながら、3年あまり続いたコロナ禍により、本業である医業収益の落ち込みが大きく、また、コロナ関連補助金の終了により、令和4年度の総収益は対前年度で12億円以上減少しました。
令和6年度の診療報酬改定以降は全国的な傾向として、病院の経営状況は悪化しています。費用の増加が著しく、人件費や医療資材、そして、エネルギーと、様々なコストの増加に加え、那覇市立病院の場合、病院建替え事業費に伴う支払消費税の増も重なり、医業収支だけでなく経常収支も赤字を計上しており、厳しい経営環境が続いています。
負担金予算について、令和6年度以降、高額医療機器等の起債元利償還に伴い、増加を続けています。
令和8年度以降、病院建替え事業に伴う起債元利償還が本格化することから、負担金予算はさらに増加していく見込みです。
年度 | 区分 | 那覇市立病院総収益 | 病院事業運営費負担金 (現年度分+前年度精算額) | (再掲) 前年度精算額 | 総収益に占める 負担金の割合 |
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令和2年度 | 決算額 | 15,537,667,654円 | 559,969,000円 | 35,954,000円 | 3.50% |
令和3年度 | 決算額 | 17,088,882,419円 | 459,036,000円 | △15,584,000円 | 2.67% |
令和4年度 | 決算額 | 15,866,975,026円 | 361,986,000円 | △81,615,000円 | 2.28% |
令和5年度 | 決算額 | 15,950,918,342円 | 542,045,000円 | △20,325,000円 | 3.40% |
令和6年度 | 予算額 | ー | 650,341,000円 | ー | ー |
令和7年度 | 予算額 | ー | 972,797,000円 | ー | ー |
「(再掲)前年度精算額」について
那覇市では、前年度に交付した負担金について、那覇市立病院から提出された報告書に基づき精算を行っています。精算の結果、不足額がある場合は過年度支出分として追加交付し、また、過払額がある場合、那覇市立病院が那覇市に納入します。※表中の「△」はマイナス、過払であったことを意味します。
病院事業運営費負担金(木のぬくもりにつつまれた空間づくり支援)(令和7年度限り)
令和7年10月の新病院棟の開院に向けて、必要な医療機器等を那覇市立病院が調達するための原資として、那覇市は「病院事業債貸付金(後述)」を那覇市立病院に貸し付けています。しかし、病院を運営していく上では医療機器以外にも、家具や什器、電化製品といった備品類も必要となりますが、医療提供と直接関係しないこれら備品類の調達資金として、病院事業債を活用することは認められておらず、すべて病院資金にて調達する必要があります。
病院敷地内には様々な樹木が植えられています。正面玄関前ロータリーのヤシ類をはじめ、デイゴやガジュマル、ヒカンザクラにホウホウボクなど、豊かな緑が末吉森の借景と相まって、慣れない入院生活を送る患者さんにとっての癒しとなっていましたが、現在地建替えを選択するにあたり、その多くは伐採せざるをえませんでした。
那覇市立病院では、新病院棟を開院させるにあたり、病棟デイルームや小児病棟プレイルームのほか、総合待合室や外来待合室などのパブリックスペースに国産木材を利用した什器を設置するほか、記憶を継承するべく、新病院棟建設工事のために伐採した、中庭のリュウキュウマツを用いたベンチを製作します。
この取組みを設立団体として支援するべく、当該経費について、地方独立行政法人法第42条に基づく市長が必要と認める経費として認定し、財源に那覇市森林環境譲与税基金を活用した負担金を令和7年度限りで交付します。
リュウキュウマツベンチは総合受付近くに設置される予定です。
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年度 | 区分 | 病院事業運営費負担金 (木のぬくもりにつつまれた空間づくり支援) | 負担金の対象となる経費 |
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令和7年度 | 予算額 | 59,463,000円 | ・国産木材を活用した什器の調達費用 |
病院事業運営費交付金(令和3年度限り)
那覇市立病院が開設許可を受けた病床、470床は、すべて医療法(外部サイト)第7条第2項第5号に定める「一般病床」であり、「感染病床」はありませんが、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、感染症法の適用により、主に中等症以下(疑似症を含む。)の新型コロナウイルス感染症患者の入院治療を提供していました。
那覇市立病院が負担している感染症医療に要する経費については、那覇市立病院に感染症病床が無いことから、総務省繰出基準に該当しません。
しかし、那覇市は那覇市立病院の設立団体であり、また、中期目標において、「那覇市保健所との連携による感染症対策への協力」を指示していることから、那覇市立病院が引き続き公的使命として感染症医療へ協力できるよう、地方独立行政法人法第42条第1項の規定に基づく「病院事業運営費交付金」を令和3年度限りで交付しました(すべて一般財源)。
年度 | 区分 | 病院事業運営費交付金 | 交付金の対象となる主な経費 |
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令和3年度 | 決算額 | 100,000,000円 | ・感染症医療に要する経費 |
病院事業債貸付金
地方独立行政法人法第41条第4項により、地方独立行政法人は償還期間が1年を超える長期の借入はできません。
そのため、医療機器等の更新や現在、那覇市立病院が取り組んでいる病院建替え事業といった多額の資金を必要とする建設改良を行う場合、同項ただし書を適用し、那覇市が病院事業債を借り入れ、那覇市立病院へ貸し付けています(転貸債)。
また、貸し付けた病院事業債の元利償還金について、前述の「地方公営企業繰出金について」に則り、病院の建設改良に要する経費として、2分の1額を負担金に計上しています。
なお、病院事業債の借入にあたり、償還期間は原則として医療機器等は5年間、建物関係は30年間での償還を採用しています。
貸付状況
医療機器等の更新については、更新する医療機器の種類や台数等により毎年度、変動がありますが、令和2年度からしばらくの間、高額の高度医療機器等の更新が続くとともに、令和7年度の新病院棟開院時には機器等の更新が集中することから、更新時期の調整や可能な限り使用可能な医療機器は新病院へ移設する等、費用圧縮を図り、また、計画的な更新を行っていくこととしています。
また、病院建替え事業が令和2年度より工事が本格化しており、令和9年度にかけて、建設資金等の借入れにより、貸付金の増額を予定しています。付随して、元利償還が始まると、負担金の金額も増加していくことを見込んでいます。
年度 | 区分 | 病院事業債貸付金 | 貸付金の用途 |
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令和2年度 | 決算額 | 584,400,000円 | 【現年度】 |
令和3年度 | 決算額 | (前年度繰越)810,300,000円 | 【前年度繰越】 |
令和4年度 | 決算額 | 1,840,800,000円 | 【現年度】 |
令和5年度 | 決算額 | (前年度繰越)1,146,300,000円 | 【前年度繰越】 |
令和6年度 | 予算額 | (前年度繰越)3,680,600,000円 | 【前年度繰越】 |
令和7年度 | 予算額 | (前年度繰越)4,500,500,000円 | 【前年度繰越】 |
※令和2年度の建物関係のうち、自走式立体駐車場建設、工事監理及び新病院等実施設計は新型コロナウイルス感染症の影響による遅れや感染症対応充実のため、設計を一部見直したため、令和3年度へ繰り越しました(令和4年1月21日完了)。
※令和4年度の高度医療機器(MRI)について、機器選定、発注後に不具合発覚に伴い、メーカーが生産を一時停止し、年度内の納品が不可能となり、令和5年度へ繰り越しました(令和5年8月30日完了)。
※令和4年度の建物関係(新病院棟建設工事及び工事監理)について、令和3年度分の沖縄振興公共投資交付金の交付決定遅れに伴う契約締結の遅れの影響等により、一部について令和5年度へ繰り越しました(令和6年2月14日完了)。
※令和5年度の建物関係(新病院棟建設工事及び工事監理)について、不発弾の発見や台風第6号による浸水被害等による進捗の遅れから、一部について令和6年度に繰り越しました(令和7年1月末完了)。
※令和6年度の建物関係(新病院棟建設工事及び工事監理)について、工事は順調に進捗しましたが、前年度以前からの遅れの解消は難しく、工期を延長するとともに、一部について令和7年度に繰り越しました(令和7年7月末完了)。
6.那覇市立病院の建替えについて
那覇市立病院の新病院棟建設工事について、令和4年3月の着工以降、不発弾の発見や台風による浸水被害等の影響もあり、令和7年7月まで工期を延長していましたが、このたび、無事に終了しました。3年余もの期間、工事実施にあたり、ご理解、ご協力いただきました近隣住民の皆様に感謝申し上げます。
新病院棟は、令和7年10月1日の開院に向け、準備中となっています。
広報紙市民の友9月号に新病院棟の特集記事を掲載していますので、是非ごらんください(こちら)。
また、建替え事業は、新病院棟開院後も旧病院棟の解体や跡地整備等、あと数年間継続します。今後は「那覇市立病院からのお知らせ」ページにて随時、情報を発信してまいりますので、そちらをご参照ください。
1階外来待合室 | 3階手術室 | 3階HCU | 4階血液浄化センター(透析) |
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8階病室(4人部屋) | 8階デイルーム | 9階ナースステーション | 10階リハビリ室 |
那覇市立病院への寄附について
那覇市立病院では、新病院開院後も病院事業を安定的に運営していくための取組として、医療機器の更新等を対象とした寄附制度を整備しています。
那覇市立病院の取組にお力添えを賜りますよう、多くの皆様のご支援をお願いします。
寄附に関する詳細につきましては、那覇市立病院ホームページ(外部サイト)をご覧ください。