相次ぐ米兵事件に抗議し、米軍基地の整理・縮小、日米 地位協定の抜本的な改定の早期実現に関する意見書

更新日:2019年3月18日

議決結果

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 相次ぐ米兵事件に抗議し、米軍基地の整理・縮小、日米地位協定の抜本的な改定の早期実現に関する意見書
 
 本市議会は、2月12日に激しい怒りをこめ、米兵による女子中学生拉致暴行事件に関する抗議決議、意見書を採択したばかりである。
 在日米軍専用施設面積の約75%が集中する本県では、基地が存在するが故に頻発する在沖米軍関係者による事件・事故等に、県民の生命・財産は常に恐怖と危険にさらされている。
 たび重なる事件・事故等の発生は、米軍関係者優先の日米地位協定にも起因するものであることは言うまでもない。
 去る2月10日には、本島中部で基地外居住者の在沖米海兵隊員による女子中学生暴行事件が発生したが、その後も米兵による事件が相次ぎ、米軍と日本政府が行ってきた再発防止や綱紀粛正、及び日米地位協定の運用改善による対応では十分ではなく、県民の怒りは限界まで達している。
 県民は、これまで日米地位協定の抜本的見直しを、日米両政府に対して何度も強く要請してきた。沖縄県も日米両政府に対し、日米地位協定の見直しを求めている。これは県議会や市町村の決議を踏まえたものであり、県民の総意であることを重く受け止めるべきである。
 よって、本市議会は、沖縄県民の人権、生命、財産を守る立場から、相次ぐ米兵事件に対して、強く抗議するとともに、(1)実効ある米軍基地の整理・縮小(2)海兵隊を含む米軍兵力の大幅な削減を強く求めるものである。
 同時に、在日米軍関係者の優先を保障し、日本の主権と国民の基本的人権に制限を加える不平等な「日米地位協定」の抜本的改定を求め、下記の事項が早期に実現されるよう強く要請する。
 
 記
 

  1. 第2条関係(施設・区域の提供等)
    (1)日本国政府及び合衆国政府は、日米合同委員会を通じて締結される個々の施設及び区域に関する協定の内容について、関係地方公共団体から、住民生活の安全確保及び福祉の向上を図るため要請があった場合は、これを検討する旨を明記すること。
    (2)日本国政府及び合衆国政府は、前記の検討に際しては、関係地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。
     また、施設及び区域の返還についての検討に際しても、関係地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。
    (3)日米合同委員会を通じて締結される個々の施設及び区域に関する協定には、施設及び区域の使用範囲、使用目的、使用条件等を記載する旨を明記すること。
  2. 第3条関係(施設・区域に関する措置)
    (1)合衆国軍隊は、施設及び区域が所在する地方公共団体に対し、事前の通知後の施設及び区域への立入りを含め、公務を遂行する上で必要かつ適切なあらゆる援助を与えること。ただし、緊急の場合は、事前通知なしに即座の立入りを可能にする旨を明記すること。
    (2)航空機事故、山火事等合衆国軍隊の活動に起因して発生する公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件・事故については、施設及び区域内で発生した場合においても、速やかに事件・事故に関する情報を関係地方公共団体に提供すること。
     また、災害の拡大防止のため、適切な措置を執る旨を明記すること。
    (3)合衆国軍隊の演習、訓練、施設整備等の諸活動の実施に対して、航空法等の日本国内法を適用する旨を明記すること。
    下記の内容の環境条項を新設する旨を明記すること。
  3. 第3条A(施設・区域の環境保全等)
    (1)合衆国は、合衆国軍隊の活動に伴って発生するばい煙、汚水、赤土、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するものとする。
     また、日本国における合衆国軍隊の活動に対しては、環境保全に関する日本国内法を適用するものとする。
    (2)合衆国軍隊は、施設及び区域におけるすべての計画の策定に当たっては、人、動植物、土壌、水、大気、文化財等に及ぼす影響を最小限にするものとする。また、当該計画に基づく事業の実施前に、及び実施後においては定期的に、当該事業が与える影響を、調査し、予測又は測定し、評価するとともに、調査結果を公表するものとする。さらに、日米両政府間で、当該調査結果を踏まえ、環境保全上の措置について協議するものとする。
    (3)合衆国軍隊の活動に起因して発生する環境汚染については、合衆国の責任において適切な回復措置を執るものとする。そのための費用負担については、日米両政府間で協議するものとする。
  4. 第4条関係(施設の返還)
    合衆国軍隊が使用している施設及び区域の返還に当たっては、事前に、日米両政府は、合衆国軍隊の活動に起因して発生した環境汚染、環境破壊及び不発弾等の処理について、共同で調査し、環境汚染等が確認されたときは、環境浄化等の原状回復計画の策定及びその実施等の必要な措置を執ること。そのための費用負担については、日米両政府間で協議する旨を明記すること。
  5. 第5条関係(入港料・着陸料の免除)
    (1)民間航空機及び民間船舶の円滑な定期運航及び安全性を確保するため、合衆国軍隊による民間の空港及び港湾の使用は、緊急時以外は禁止する旨を明記すること。
    (2)第5条に規定する「出入」及び「移動」には、演習及び訓練の実体を伴うものを含まない旨を明記すること。
  6. 第9条関係(合衆国軍隊構成員等の地位)
    人、動物及び植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法を適用する旨を明記すること。
  7. 第13条関係(租税)
    合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税について、民間車両と同じ税率で課税する旨を明記すること。
  8. 第15条関係(諸機関の管理等)
    第15条第3項を改正し、施設及び区域内の諸機関が提供する役務についても、物品の販売の場合と同様に、日本人に対する役務の提供を制限する旨を明記すること。
  9. 第17条関係(裁判権)
    合衆国の軍当局は、日本国の当局から被疑者の起訴前の拘禁の移転の要請がある場合は、これに応ずる旨を明記すること。
  10. 第18条関係(請求権の放棄)
    (1)公務外の合衆国軍隊の構成員若しくは軍属、若しくはそれらの家族の行為又は不作為によって損害が生じた場合において、被害者に支払われる損害賠償額等が裁判所の確定判決に満たないときは、日米両政府の責任で、その差額を補填するものとし、補填に要した費用負担については、両政府間で協議する旨を明記すること。
    (2)合衆国の当局は、日本国の裁判所の命令がある場合、合衆国軍隊の構成員又は軍属に支払うべき給料等を差し押さえて、日本国の当局に引き渡さなければならない旨を明記すること。
  11. 第25条関係(合同委員会)
    日米合同委員会の合意事項を速やかに公表する旨を明記すること。
  12. 上記以外にも、日米地位協定改定は必要である。沖縄県、各種団体など、県民の要望を真摯に受け止め、日米地位協定の構造的欠陥、不合理性、不平等性の抜本的改定をさらに促進すること。

 
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
 
平成20年(2008年)3月18日
 
那覇市議会
 
あて先
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣、外務大臣、防衛大臣、環境大臣、沖縄及び北方対策担当大臣
 
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