更新日:2019年3月18日
ウイルス性肝炎
ウイルス性肝炎とは、肝炎ウイルスに感染して、肝臓の細胞が壊れていく病気です。本来肝臓は再生能力が高く、例えば手術でその半分以上を切り取っても元の大きさまで再生できるほど丈夫な臓器ですが、この病気になると徐々に肝臓の機能が失われていき、ついには肝硬変や 肝がんといった、再生すらも不可能な病気に進行してしまいます。
肝炎の種類と症状
主な肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型の5種類があります。詳しい症状とそれを起こしやすい肝炎ウイルスの型は以下のとおりです。
1. 慢性肝炎:B型、C型肝炎ウイルスによるものが多い。長期間にわたり軽度の肝障害が続く。徐々に肝臓が繊維化し、肝硬変や肝がんに至ることがある。
2. 急性肝炎:A型、B型、E型肝炎ウイルスによるものが多い。急速に肝細胞が破壊されるために、発熱、全身倦怠感、黄疸などの症状があるが、自然経過で治癒することが多い。
3. 劇症肝炎:急性肝炎のうち、発症から8週間以内に高度の肝機能障害を起こし、脳症などを来すもの。集中的な医学管理を要する。生存率は30%ほど。
なかでもB型及びC型肝炎ウイルスの患者・感染者は合わせて300万人を超えており、国内最大の感染症とも言われています。
感染経路
肝炎ウイルスは、血液を介して人から人へと感染します。
- 肝炎ウイルスが含まれている血液の輸血等を行った場合
- 注射針・注射器を肝炎ウイルスに感染している人と共用した場合
- 肝炎ウイルス陽性の血液を傷のある手で触ったり、針刺し事故を起こしたりした場合(特に保健医療従事者は注意が必要です。)
- 肝炎ウイルスに感染している人が使用した器具を、適切な消毒などを行わずにそのまま用いて、入れ墨やピアスの穴あけなどをした場合
また、B型肝炎ウイルスでは、以下のような感染経路も考えられます。 - B型肝炎ウイルスに感染している人と性交渉をもった場合
- B型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれた子に対して、適切な母子感染予防措置を講じなかった場合
感染予防
肝炎ウイルスの感染予防に当たっては、他人の血液に安易に触れないようにすることが重要です。
ただし、肝炎ウイルスは空気感染はしませんので、常識的な注意事項を守っていれば、日常生活でうつることはまずあり得ません(他人の血液に触れることの多い、医療従事者のような場合は除きます)。こうしたことを理解し、肝炎の患者・感染者を差別することのないようにしましょう。
(主な注意事項)
- 歯ブラシ、カミソリなど血液が付いている可能性のあるものを共用しない
- 他の人の血液に触るときは、ゴム手袋を着ける
- 注射器や注射針を共用して、非合法の薬物(覚せい剤、麻薬等)の注射をしない
- 入れ墨やピアスをするときは、適切に消毒された器具であることを必ず確かめる
(感染しない事例)
- 肝炎ウイルスに感染している人と握手した場合
- 肝炎ウイルスに感染している人と抱き合った場合
- 肝炎ウイルスに感染している人の隣に座った場合
- 肝炎ウイルスに感染している人と食器を共用した場合
- 肝炎ウイルスに感染している人と一緒に入浴した場合 等