令和8年度施政方針 市政運営の基本姿勢
施政方針は、市政運営にあたっての基本姿勢や当初予算の概要、主な事業について述べたものです。
はじめに
はいさい ぐすーよー ちゅーうがなびら。
第34代那覇市長として迎える最後の年となりました。
この3年余り、「市民のために、市民と共に、市民本位」との想いを胸に、こども家庭センターなはの設置や教員の負担軽減、学校給食費の補助など、子どもたちの健やかな成長を支える政策を推進するとともに、パークPFIなどの民間活力の導入により公共施設の充実を図ってまいりました。
加えて、国連機関との連携やLRTの導入に向けた具体的な検討に着手するなど、未来を見据えた種まきにも尽力いたしました。約11年ぶりに開催された「県都那覇の振興に関する協議会」では、国及び関係機関との連携が強化され、本市のさらなる成長に向けて進展させることができました。
また、「GW2050 PROJECTS」に象徴されるように、民間事業者、特に若い世代から沖縄の未来を自ら切り開こうとする新たな試みが芽吹いております。彼らと意見を交わすたび、その柔軟な発想と行動力に深い感銘を受けるとともに、本市の未来は明るいものであると確信しております。こうした活動を支援し、連携していくことで、めまぐるしい変化の中でもしっかりと根を張り、たくましく成長する市政を築いてまいります。
一方で、少子高齢化や人口減少はますます深刻化しております。人口政策は全国的にも有効な手段が確立されていない難題であり、この新たな局面にこそ、固定観念を打ち破り天馬空を行くの精神で果敢に挑戦していかなければなりません。
引き続き、胸襟を開いて市民の皆様との対話を重ねながら、芽吹いた蕾が大きな花を咲かせ、実を結ぶように責任をもって育んでまいります。
市民の皆様並びに、本市議会の皆様におかれましては、市政へのご理解とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
それでは、令和8年度の市政運営の基本姿勢と予算案、主要事業をあわせてご説明申し上げます。
ゆたさるぐとぅ うにげーさびら。
選ばれるまちへ
私はこれまでも、「多様性に寛容な社会の実現が何よりも重要である」との信念のもと、市政運営に取り組んでまいりました。アメリカの社会学者リチャード・フロリダ氏の研究によると、都市の競争を支える3要素として「技術」、「人材」、「寛容性」が挙げられ、とりわけ「寛容性」が重要であると説かれております。多様な人々や価値観を受け入れる寛容性に富んだまちには、世界中から多くの人材が集い、新しい技術や産業が生まれ、経済も発展することが、研究結果からも導き出されています。
本市に目を向けると、琉球王国時代から外国との交易を通じて、様々な人々や多様な文化が交わり、違いを認め合いながら栄えてきた歴史があり、すでに寛容な社会の素地が整っております。この強みをさらに磨き上げることで、世界中から人材と技術が集積し、産業が発展する魅力的な都市へと飛躍させていくことが私の使命であると考えております。
また、本市の未来を担う人材の育成にも力を注いでまいります。日本の南の玄関口として国際交流拠点になりうる本市の主役となる人材を育てるため、グローバル教育を拡充、強化いたします。子どもたちが多様な文化に触れ、国際社会で活躍できる人材に成長できる環境を整えてまいります。
本市に受け継がれてきたポテンシャルを最大限に活かし、未来につながる土台をしっかりと築き上げ、世界から選ばれる「万国津梁のまち NAHA」の実現に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。
歴史をつなぎ、文化を発展させる
昨年は戦後80年を迎えた節目の年であり、平和祈念式典やシンポジウムなどを通して、本市の想いを語るとともに、戦争体験者や学生などの多くの方々と戦争の実相や平和の尊さに向き合う機会をいただきました。様々な立場から語られた言葉に耳を傾ける中で、歴史の重みとともに、戦禍の記憶を風化させることなく、次世代へ継承していく責務の重大さをあらためて痛感いたしました。今を生きる世代の責任として、特に若い世代に戦争の悲惨さと復興の歩みを確実に伝え、終戦100年に向け、平和をつないでいく決意をより一層強くいたしました。
そして今年の秋にはいよいよ首里城正殿が再建されます。ここに至るまで尽力くださった関係者の皆様、全国から温かいご支援を寄せてくださった多くの方々に那覇市民を代表して、あらためて深く敬意と感謝を申し上げます。
戦争や火災で幾度も消失しながらも、そのたびに甦ってきた首里城は、まさに不屈の復興を遂げた本市の歴史を象徴するものであります。再建を契機として、首里城と周辺地域、そして市内全域で一体となって盛り上げ、本市の歴史を多くの方に伝えてまいります。
加えて、本市には琉球王国時代から受け継がれてきた文化が数多くございます。泡盛の製造技術や壺屋焼、首里織をはじめとする伝統工芸の業(わざ)、空手、棒術などの武術、琉球舞踊・音楽、路次楽やフェーヌシマなどの芸能、まつりに華を添える旗頭、そのどれもが各地域の特色を伝える本市の誇りであり、守り育てていくべきものでございます。
本市が誇る伝統文化を平和への願いとともに次世代へ継承するとともに、より多くの人々が親しみ、楽しんでいただけるものとしてあり続けるよう発展させてまいります。
子どもが羽ばたく後押しを
昨年、沖縄尚学高等学校野球部が夏の甲子園で優勝を果たし、その鮮やかな活躍に多くの県民が心を躍らせました。私も決勝戦を現地で観戦し、その若き熱意と躍動に胸を熱くいたしました。その後、本市を中心に開催されたWBSC U-18野球ワールドカップにおいても、県勢を含む若者が世界の舞台で活躍する姿は、再び県民を熱狂させ、沖縄に夢と希望をもたらすものでございました。
本市の子どもたちが様々な舞台で活躍する報告を聞くたび、その未来に広がる無限の可能性を強く実感いたします。その力を伸ばせるよう、子どもたちが自らの夢を見つけ、熱中し、挑戦し続けることができる環境づくりに努めます。そのためにも、すべての子どもが自らを肯定しながら、権利を保障され、主体となる社会づくりを推進してまいります。
一方で、全国的に不登校の子どもが増え続けており、本市も例外ではございません。本市としても、様々な事情で登校できなくなった子どもたちが自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指すための支援とともに、子どもたちにとって安心できる学びの場の充実に努めます。
本市の未来を担うすべての子どもが健やかに成長しながら、自らの可能性を信じ、夢に向かって羽ばたいていけるよう、全力で支援してまいります。
より便利で人に寄り添う市民サービスの提供を
私は副市長時代から、市民サービスの向上と行政事務の効率化を目指し、行政DXに取り組んでまいりました。
進展著しいAIの技術を積極的に活用した業務効率化に加え、昨年は行政手続きのオンライン化の拡充や公式ホームページの全面リニューアルを手掛けるなど、暮らしをより便利にし、行政をより開かれたものに変えるための施策を展開しております。
今年は、こうした取組をさらに前進させ、県内で初めてコミュニケーションAIを使った窓口案内の実証を開始いたします。画面越しに、まるで人間のようにふるまい、応答するAIとの会話は、私自身が子どもの頃に想像していた未来そのものであり、市民の皆様にもぜひ体験していただきたい新たなサービスの形でございます。これをきっかけとして、AIと共存するまちづくりへの新たな一歩を踏み出します。
一方で、デジタル化に不安や戸惑いを持つ方々が取り残されることがあってはなりません。デジタルに触れる機会の提供や操作方法の分かりやすい周知、多様な対応により、誰もが安心して地域のサービスを利用できる「人に優しい市役所づくり」にも取り組んでまいります。
このようなデジタル技術の活用が推進される時代においても、市民サービスを最前線で支えるのは職員でございます。
昨年、沖縄愛楽園の皆様を琉球王朝絵巻行列にお招きいたしました。ハンセン病によって施設への入所を余儀なくされた方々からの「首里城のお祭りの国王と王妃の行列を見たい」という願いを耳にした職員が、関係課とともに尽力したことで実現したものです。愛楽園の皆様が「夢が叶った」と喜ぶ姿を見て、日頃から市民の皆様へ細やかに心を配り、寄り添う職員が育っていることを実感し、私にとっても忘れがたい光景となりました。
このように市民の皆様に真摯に向き合い、労を惜しまずに行動し、新しいことに挑戦する職員とそれを支える体制が、私の思い描く行政サービスの礎でございます。これからも、職員と共に、市民の皆様の声を拾い、人生をともに歩む行政の実現を目指します。
デジタル技術と人の力を両輪として、市民の皆様の利便性の向上とより丁寧で質の高いサービスの提供に挑戦し続けてまいります。
生活を守り、経済を活性化させる
昨年は、沖縄県の入域観光客数が過去最高を記録するとともに、最低賃金が初めて千円を超えるなど、市民の所得向上に明るい兆しが見えた一年でございました。
その一方で、物価高は依然として続いており、市民生活に影響を及ぼしております。これまで、子育て世帯への給付金、学校給食費の補助、こども園や児童クラブなどへの食糧費の支援、おこめ券の配布や水道基本料金の免除などにより市民の皆様の負担軽減に努めてまいりました。今年も、皆様の生活に目配りしながら、暮らしを守る施策を全庁一丸となって講じる所存です。市民の皆様に信頼され、頼っていただけるよう、最後の砦としてあり続けながら、皆様の暮らしに寄り添ってまいります。
また、マチグヮーを歩くと、県内企業のロゴマークをあしらったTシャツやカバンを身につけた観光客でにぎやかな景色が広がっております。その楽しそうな姿は、SNSなどで発信され、本市の魅力を多くの方に伝え、新たな賑わいを呼んでおります。この活気を市内経済の活性化に確実に繋げるため、他産業と連携した観光資源の開発、都市型MICEの推進や国際大会と連動した魅力発信などに努めてまいります。さらに、本市の魅力である伝統的なまちなみや文化を活用しつつ、市民や観光客、そして市内事業者など様々なステークホルダーの観光振興への理解を醸成することにより、「美ら島の持続可能な国際観光交流都市」としての付加価値を高め、市内全域に効果を波及させてまいります。
加えて、強い経済基盤を構築するためには、市内事業者の経営と雇用の安定が不可欠であることから、労働生産性の向上、商品開発、販路拡大や従業員のスキルアップなどの「稼ぐ力」を高める取組や経営課題の解決を支援してまいります。
本市の持つ魅力を最大限に活かした経済振興と、暮らしを守る施策を連動させ、相乗効果を生み出しながら、活力あるなはを築いてまいります。
安らぎを感じる安全安心なまちづくり
本市は今年、市制施行105周年を迎えます。小さな浮島から始まった那覇は、沖縄の県都として、コンパクトな市域に多彩な都市機能を有する近代都市に発展いたしました。市政を担うものとして、先達に学びながら、持続し、発展していくまちづくりを進めていく決意であります。
昨年は、本市で初めてとなるパークPFIを活用して整備された公園施設が供用開始され、多世代が集う交流の場として好評を得られております。私自身、新都心公園を散策中に、子どもたちから「のんびりできて、いままでより楽しくなった」と声をかけられ、こうした場が暮らしに潤いをもたらしていることを実感いたしました。引き続き、市民の皆様が安らぎを感じる場所の充実に努めてまいります。
そして、安らぎを感じるためには、安全安心を実感していただく必要がございます。昨年11月、本島北部の導水管破損により発生した断水は、本市にも大きな影響を及ぼしました。予期せぬ事態に混乱する中、最善を尽くして対応した職員を頼もしく感じるとともに、災害はいつ、どのように発生するか分からないということを改めて実感した出来事でございました。本市において、同様の事故を起こさぬよう、上下水道管路等の点検・更新に努めてまいります。
加えて、災害時の備えとして、生活用水の確保に向けた調査や被害拡大のリスクを持つ密集住宅市街地の環境改善に取り組むとともに、誰もが迅速に避難できるまちづくりに努めてまいります。
さらに、日勤救急隊の導入、真和志出張所の整備や車両等の高機能化により消防力を強化するほか、市民の皆様が楽しみながら防災意識を高められる啓発活動を展開し、地域ぐるみの防災力向上にも取り組み、災害に強いまちづくりを図ってまいります。
これからも市民の皆様が愛着を持ち、安全安心を感じる「住みよいまち」を創り上げてまいります。
すべての市民が健やかにいきいきと暮らせるように
昨年、新那覇市立病院が開院いたしました。新病院により、市民の皆様の命と健康を守るための機能がより一層強化され、安心して子どもを産み育てられる環境づくりも推進されました。地域の急性期機能を維持しつつ、南部医療圏全体を支える「急性期拠点機能」を目指すための基盤も整ったものと考えております。大規模災害時の体制整備も進めており、これまで以上に「市民の命を守る砦」としての責務が果たされることを期待しております。
一方で、市民の皆さまの健康を守るためには、心身ともにいきいきと暮らせる地域づくりも必要でございます。「なは健康づくりパートナーズ」と連携し、市民の皆様が主役となった健康づくりを支援するとともに、住み慣れた地域で安心して最期まで暮らすための「地域包括ケアシステム」の実現を目指し、住民主体の介護予防活動や地域の力を活用した連携体制の確立に取り組みます。
加えて、複雑多様化する支援ニーズに対応し、地域において必要な支援に繋げるための包括的な支援体制の提供や、犯罪の被害に遭われた方が、被害から回復し平穏な生活を送るための体制構築を目的とした条例の制定に取り組むなど、すべての人が健やかに過ごせる環境を整えます。
さらに、学校や公園などの公共施設におけるユニバーサルデザインの採用を促進し、障がいのある方の進学・通学や就労支援も充実させることで、誰もがいきいきと暮らせる共生社会の実現を目指します。
地域を担う皆様とともに、「互いの幸せを地域と福祉で支え合い、誰もが輝くまちNAHA」の実現に向け邁進いたします。
なはの未来をともに描く
本市のまちづくりの指針である第5次那覇市総合計画の期間が残り2年となりました。今年は、次期計画の策定に着手いたします。
コロナ禍による社会変革の中で、働き方や暮らしに対する新たな価値観が生まれております。デジタル技術が急速に進展し、ワーク・ライフ・バランスの重要性が再認識されるとともに、ウェルビーイングやSDGsの理念が浸透したことで、まちづくりにおける新たな視座が求められております。さらに、民間主導による「GW2050 PROJECTS」が動き出すなど、時代が大きな転換期を迎えています。変化を的確に捉え、AIによる未来予測も取り入れながら、市民の皆様と胸躍る未来を共有できる計画を策定したいと考えております。
また、本市が長年掲げてきた「協働によるまちづくり」の理念を継続し、計画策定の各段階で幅広くご意見を賜る予定です。市民の皆様の多様な声を聞き、対話できる機会を得られることを、心より楽しみにしております。
さらに、本市の未来の柱として、人口政策が不可欠であることから、「(仮称)なはみらい推進室」を新設し、全庁を挙げての挑戦を開始いたします。市営住宅における子育て世帯及び新婚若者世帯への支援を皮切りに、様々な施策を積極的に講じてまいります。
本年は、これまでの歩みを振り返りつつ、未来への懸け橋となるビジョンを描く重要な1年になると確信しております。本市に暮らし、働き、集う方が「住みたい、住み続けたい」と思うまちの実現に向け、力強く踏み出してまいります。
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